破壊と再生を繰り返して紡いできた運命のゆくえは、強烈無比な7人組を生み出した——騒々しい物語の続きを疾走するニュー・シングルが登場!

 昨年11月、東京・Zepp Divercityからスタートした47都道府県ツアー〈re:voke tour for 47〉もいよいよ後半戦に突入したぜんぶ君のせいだ。。その〈re:voke tour for 47〉は、メンバー脱退を経て、新メンバーに甘福氐喑、もとちか襲、雫ふふが加わった5人体制での、言わばお披露目ツアーだが、このツアー中に飛び込んできたのはさらにレーベルメイトであったゆくえしれずつれづれからメイユイメイ、个喆が新加入し、7人体制になるという驚きのニュースだった。常にワクワクすること、楽しいことを企んではファンを驚かせてきたぜん君。らしい。そして結成から6年、このコロナ禍においても活動は減速することなく、より遊び心を炸裂させている。7人体制での最新シングル『堕堕』には、その鼻息荒いほどのエネルギーが詰まっている。

ぜんぶ君のせいだ。 『堕堕』 コドモメンタルINC.(2021)

 

こちらから行ってもいいよね

――47都道府県ツアーが後半戦になりましたが、ツアーの感触はどうですか。

如月愛海「待っていてくれる方が本当に多くて。いまはソーシャルディスタンスをとりながらのライヴにはなるんですけど、そのなかでみんなも遊び方を考えてきていて。声を出せないぶん、私たちの振付を完コピしてくれたり、逆にそれに合わせてこっちも一緒に踊ったりとか。遊び方が自由になっているなと思いました」

――コロナ禍で思うようにツアーやライヴができないバンドは多いと思うんですが、そこで47都道府県ツアーをやろうというのは大きな決断だったのでは。

愛海「昨年7月に前メンバーが脱退して、一時活動休止をしたんですけど、活休前に、次は47都道府県ツアーをすると決めていたんです。47都道府県を回って、さらに大きなステージに行けたらと、前々から話していたことだったんですよね。メンバーの脱退・加入はあったけど、ステージに立ちたいというのはありましたし、加入した3人は、初のツアーが47都道府県になっちゃいましたけど(笑)」

もとちか襲「でも、行きたい行きたいってなってました」

雫ふふ「楽しみだったよね」

愛海「あとはこうしてコロナ禍でみんながなかなかライヴに来れないのもあると思うので、それならこちらからみんなのところに行ってもいいよねという感じで。嬉しいのは、地方によっては前のツアーで行った時よりも、観客が増えている場所もあるんです」

――こうした状況に加え、ぜん君。としてもメンバーが替わったりしているなかで、ライヴに足を運んでくれるのは心強いですね。

愛海「そこは過去のメンバーにも感謝しているところです。やっぱり信頼感がないとついていこうと思えないと思うんです。ずっとライヴに来てくれている患いさん(=ぜんぶ君のせいだ。ファンの呼称)たちは、まだ7人になったばかりで消化しきれていない曲などもちゃんと見てくれて、今日はこうだったね、とか、その先に期待もしてくれているというか。それはいままでのメンバーが努力を重ねてぜんぶ君のせいだ。を築いてきたという過程を信頼してくれて、いまいるメンバーの努力も感じてくれているからだと思うんです」

――まさにぜん君。の真髄を見てもらえるのがライヴというわけですね。新体制の5人でスタートしたツアーですが、今年に入って新たにゆくえしれずつれづれのメイユイメイ、个喆が加入して7人体制となりました。メイさん个喆さんは、他のグループで活動を重ねてきたとはいえ、このツアーで新メンバー3人が確実に磨き上げてきたのもあるから、ひと筋縄ではいかないですよね。

メイユイメイ「3人の成長スピードがすごく早いのも見ていて感じていたから、ここに入って本当にいいのかなっていうのはありましたね」

个喆「私たちに何ができるかなっていうのはあって、めっちゃ探り探りで」

メイ「メンバーとこんなに一緒に過ごすことも、ゆくえしれずつれづれではなかったので、毎日が新しい感じがします」

――ぜん君。史上でも7人編成というのは初ですから、よりダイナミックで、楽しいものになっていそうです。

征之丞十五時「どこを見たらいいかわからないくらいになってます(笑)」

甘福氐喑「どこを見ても楽しいっていうのは、お客さんにも言われました」

――最新シングル“堕堕”もこのツアーで披露してるんですよね。

襲「これ、めっちゃん楽しいんですよ」

ふふ「楽しいよね。イントロが流れた瞬間に……」

喑「ステージのヴォルテージがグッとアガる」

愛海「7人で最初の曲が“堕堕”でよかったですね。元気さや賑やかさもあるし、一曲の中の色合いがすごくあって、遊び心がある。この曲ではほとんど振付がないので、ステージを歩いたりパフォーマンスしながら歌うんですけど、そこに7人それぞれの色が出るんです。それが、すごくいいなって。ふふは最初、右から左に歩いて行ったのに、なんで今日は左から右に歩いて行くんだ?とか」

ふふ「気分次第なので」

襲「毎回変わるんですよね」

愛海「みんなが楽しそうにやってるとこっちも楽しくて、自由にやってます」

――その自由なパフォーマンスは、曲が持つメッセージからというのも大きい?

愛海「そうですね。“堕堕”って、ダダイズム、既成概念を壊すような意味もあるけど、私のなかでは〈駄々っ子〉のイメージも強くて。いやーって言ってるイメージがあるんですよね」

个喆「たしかに。歌詞でも歌ってるし」

愛海みんな反骨精神も強いので、それを出したほうが絶対にこの曲にはいいなっていうのはありました」

 

物語としてはヤバい

――それぞれこの曲にどんな思いや願いを落とし込んで歌っていますか。

メイ「“堕堕”の意味のなかには、私と个喆が以前いたゆくえしれずつれづれの曲、“我我”のオマージュも入っているので、ゆくえしれずつれづれの魂もちゃんと持っていくぞっていう思いがあるのと、あとはぜん君。に加入して、ぜん君。を見てくれている人に対しても私は堕ちたいし、見てくれている人も私に堕ちてほしいなっていう気持ちがあります」

喑「けっこう今回はふざけた歌詞が多いんですけど、シャウトのパートでは重い愛のことを歌っているんですよね。そこはすごく好きです。ここは自分もシャウトしているんですけど、メイの長いシャウトに心掴まれますし、より気持ちが入りますね」

襲「いままで、ぜん君。の曲を7人で新たに歌詞割りをしてライヴで歌うことはありましたけど、本当の意味で7人での初めての曲なので。歌やパフォーマンスも自由なところはたくさんあるんですけど、その自由のなかにもこの7人を見せつけるぞという強い気持ちでパフォーマンスする曲になりました」

――それぞれのキャラクターも出て、かつ、ゆくえしれずつれづれの武器のひとつでもあったシャウトも、この曲ではいいインパクトを放っていて、まさに7人だからこその曲ですね。

メイ「はい。ただ、メイと个喆が入った7人で初めての音源は、絶対自分たちがびっくりするくらいカワイイ曲だと思って待ち構えていたんです。どれくらいブリブリするんだろうな?って。“堕堕”が届いたときに、え、かっこいいじゃん!っていう」

个喆「〈カワイイ〉が試されると思ってて練習しなきゃなって思ってたんですよね(笑)。しかも加入したばかりのメイと个喆はレコーディング順が最初で。いきなりそんなに試す!?っていう」

――(笑)。先ほどから〈自由〉というフレーズが上がっていますが、レコーディングはどうでしたか。

襲「自由に表現していいと言われたので、逆にみんなの〈自由〉が気になって(笑)。みんなけっこう遊んでるなって思いました。そこにメイと个喆の力強いシャウトが入ってくるのもすごくよくて、早く出来上がりを聴きたかったですね」

ふふ「この曲は、レコーディングの場所に7人集まるのが初めてだったんです。待ち時間ではどこかふわふわしてる感じがあったというか、まだ7人でガチッとなっていない状態で。でも、曲ではちゃんとガチッとハマっていたんですよ。それは“堕堕”という曲に対して7人が同じ思いを抱いていて、ここからみんなで一緒に始まっていくんだって思いがあったからで。それがすごくよかった」

征之丞十五時「7人で再スタートしていく節目の曲で、もらったときから大切に歌わなきゃって思いました。歌詞がけっこう重たいけど、曲調やリズムは遊んでいて。レコーディングでも、作曲をしているsyvaさんに〈もっと遊んで〉って言われて。自分では遊んでいるつもりで歌っても、聴いてみたらもっといけるなって思うところが多くて。レコーディングは何回も経験しているけど、自分の反省点が見つけられた曲だなって思います。なので、ライヴでどんどん仕上げていきたい気持ちが強くなりました」

――これは本当にライヴで見たい曲ですが、実際の反響はどうですか。

愛海「それに関しては、〈なんでこの時期にこの曲出した?〉っていう感じですよね(笑)。みんな声を出したり歌ったり、フロアでもみくちゃになったりができないときに。なんでこの遊び曲を出したのかっていう」

襲「そりゃ早く動きたいよね、みんな」

征之丞十五時「焦らすよねえ」

喑「(笑)。でも“堕堕”が好き、カッコイイって言ってくれる患いさんもたくさんいるのは本当に嬉しいですね」

――カップリング“never ending xxx”の音源は5人で収録しているそうですね。

愛海「そうですね。まだメイと个喆が入る以前、5人での曲というのが大きいですね。それでいて“never ending xxx”――物語は終わらないという曲で。ここまでずっと繋いできた物語はまだ続いていくという思いが、いろんな意味で入っています。悲しみや苦しみはそこまでないんですけど、この疾走感のなかに、前に進むための一歩を踏み出す風みたいなものが入っているかなって」

――コロナ禍で、かつメンバーが変わりながらもノンストップにライヴも続けている、その痛快な疾走感、生き様がこのシングルですね。

愛海「“堕堕”の冒頭に、〈FANTASY 常に騒々しい〉ってありますけど、これはぜん君。のことだなって思っていて。正直、ぜん君。って、物語としてはヤバいと思うんですよ(笑)。2時間ドラマぐらいではぜんぜん収まり切らないくらい」

征之丞十五時「起承転結の〈転〉が多いもんね」

襲「起承転、転、転、転、転……みたいなね」

愛海「まだ〈起〉の段階かもしれないし(笑)。それくらいすごい物語のなかで、“never ending xxx”もそうですけど、自分たちの物語を続けることを歌っていて。続けてこれたことも嬉しいけど、そこでいちばん大きいのは患いさんの存在なんですよね。これまで脱退や加入でいろんな変化もあって、さらに今年になっていきなり7人になって、それでも期待して、待っててくれる方がこんなにいるのは辞める理由にならないじゃないですか。続ける理由にしかならないから。すごくありがたいなと思ってます」

左から、ぜんぶ君のせいだ。の2020年のシングル“インソムニア”、2020年の映像作品「中野サンプラザホール単独公演~生鳴兆候~」、2019年のアルバム『或夢命』、ゆくえしれずつれづれの2020年作『paradox soar』(すべてコドモメンタルINC.)