インタビュー

Jazztronik 『Vamos La Brasil』

咲き誇る大輪のブラジル、ブラジル、そしてブラジル! 絶好のタイミングでルーツを見つめ直した野崎良太が、美しい季節の風と熱気を運んできた!

Jazztronik 『Vamos La Brasil』

 ブラジル音楽はJazztronikこと野崎良太にとって縁深いもので、その活動の原点のひとつになっていると言っても過言ではない。このたびリリースされた初のカヴァー・アルバム『Vamos La Brasil』は、ブルー・ノート75周年を記念すると共に、ブラジルで開催されているサッカーのワールドカップにもリンクし、自身に影響を与えたブラジルの楽曲を全編で取り上げている。例えばアントニオ・カルロス・ジョビンの“Aguas De Marco”。

Jazztronik Vamos La Brasil Blue Note/ユニバーサル(2014)

  「学生時代に作曲を勉強していた僕にとって、ブラジルの作曲家のなかでもジョビンは別格ですね。楽曲が複雑に作られているにもかかわらず、すごくポップでシンプルに聴こえることもありますし。そんなところから彼の魅力にはまり、ブラジル音楽全般にも惹かれていきました」。

 そこからジョイスマルコス・ヴァーリらいろいろなアーティストを聴くようになり、後にマルコスとは共演も果たしている。 

 「マルコスと初めて会ったのは、90年代中頃にあったサバス東京というブラジル音楽専門のライヴ・レストラン。そこに通い詰め、タンバ・トリオクアルテート・エン・シーバーデン・パウエルカルロス・リラとかの貴重な生のステージを観たんです。当時はいちファンに過ぎなかったんですけど、マルコスのピアノのバッキングにはとても影響を受けましたね。その後、僕も音楽を作るようになって、『CANNIBAL ROCK』と『en:Code』(いずれも2005年)では憧れの人や影響を受けた人たちにも参加してもらったんですが、そのなかにマルコスやフローラ・プリムもいたんです。フローラの曲は彼女の旦那のアイアート・モレイラが作曲して、彼らの娘さんのコーラスも入ってます」。

 そんな彼らに対する感謝の気持ちが、『Vamos La Brasil』におけるマルコスの“Estrelar”、フローラの“Open Your Eyes You Can Fly”、アイアートがフローラに捧げた“Samba De Flora”といった選曲に表れているのだろう。

 一方、ジョルジ・ベンの“Mas Que Nada”、エドゥ・ロボの“Upa Neguinho”、アジムスの“Jazz Carnival”などは昔からクラブでも有名なブラジリアン・クラシック。特に“Jazz Carnival”はDJプレイを視野に入れたダンサブルなカヴァーだが、そうしたなかでアイアートやフローラとも親交の深いエルメート・パスコアールの“Menina Ilza”は、しっとりした美しいバラードで逆に印象的だ。

「ジョビンの他に好きな作曲家だとエルメートやエグベルト・ジスモンチですね。彼らは実験的で複雑な構成の曲も作るし、そうした世界もすごく好きですけど、今回はふだんブラジル音楽を聴かない人でも、すんなりと入っていけるようなわかりやすい曲、メロディアスで綺麗な曲を集めたかったので、“Menina Ilza”を選びました。この曲はストーン・アライアンスのアルバムで初めて知って、後半はプログレッシヴなジャズファンク調の展開も見せるのですが、今回はそこに行く前で終えています。エルメートのピアノもすごく好きで、この曲もライヴではピアノ・ソロでやったりして、それがまた超絶的にうまいんです。彼も大きな影響を受けたひとりですし、同じく作曲家としてはトニーニョ・オルタも凄いですね。彼のコードワークに勝てる人はいないんじゃないかな。想像を超えるコード進行やハッとするメロディーがあり、頭の中はどうなってるんだろうと思います」。

 そんなオルタの名曲“Aquelas Coisas Todas”も、『Vamos La Brasil』のハイライトのひとつとなっている。

 

▼『Vamos La Brasil』収録曲のオリジナルが聴ける作品を一部紹介

左から、アントニオ・カルロス・ジョビンの73年作『Jobim』(Philips)、マルコス・ヴァーリの83年作『Marcos Valle』(Som Livre)、フローラ・プリムの76年作『Open Your Eyes You Can Fly』、アジムスの79年作『Light As A Feather』(共にMilestone)、トニーニョ・オルタの79年作『Terra Dos Passaros』(EMI Brasil/Dubas Musica)
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  多岐に渡るJazztronikの活動から近年の作品をご紹介します! 2011年に『Dig Dig Dig』(KnifeEdge)でカラフルな歌モノ路線を極めた彼は、翌年に自身のレーベル=七五三からライヴ形式によるベスト盤『Jazztronik Studio Live Best』(七五三)を新録。今年の4月に大編成楽団でのインスト作『Cinematic』(同)を発表したのも記憶に新しいところ。その間の2012年には90年代のハウス・クラシックを軸にしたミックスCD『Love Tribe presents Back to 90's Mixed by Jazztronik×AIR』(ラストラム)を残してもいます。一方、野崎良太として昔から数多く手掛けるサントラ仕事では、2013年に同名ドラマのサントラ『鴨、京都へ行く。』(エピック)にて劇伴を担当。また、ドラマ「ファースト・クラス」の使用曲を元にしたスタイリッシュなミックス仕様の『FIRST CLASS SOUNDS FEAT.RYOTA NOZAKI』(avex trax)も登場したばかり。さらにはマルコ・ジ・マルコの編集盤『Selection』(Village Again)では選曲を担当して伊ジャズへの造詣の深さを見せつけたり……とにかく幅広い! *編集部
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