フィンランドのフュージョン・バンド、ヴァイナル・ジャムを率いるサックス奏者のソロ2作目。2012年末に出た前作は70年代後半の隠れたAOR名盤みたいな〈あの頃感〉出まくりの内容で、シティー・ポップ愛好家たちを唸らせたものだったが、さて今回はどうか。濡れたエレピやアーバンなサックスはここでもよく鳴っているものの、マイケル・フランクス的な男性ヴォーカルは影を潜め、大半の曲でソウルフルな女声がフィーチャーされている。よって80年代のブラコンを愛する方々のツボも押しそう。ウィスパー・ヴォイスでフランス語を囁く表題曲や“Epilogue”は特に官能的で、寝室で聴くのにも適している。インスト曲も効果的に挿まれ、全体の流れもよく計算されたもの。イイ仕事するな~。