31歳で死んだシューベルト最晩年の切ないまでの美しさをもつ名作2曲、ともに第2楽章が極めて印象的な内容をもち、第2番はキューブリック監督映画『バリー・リンドン』で用いられたことでも有名だ。今回発掘された80年代の放送録音は、ウィーン出身のヴェテラン、シュナイダーハン、バドゥラ=スコダに、当時若手だったロシア出身のペルガメンシコフを加えたトリオによるもの。各楽器の音色のコク、明暗の変化は楽曲の深みを直接聴き手に印象付け、呼吸するようなフレージングは楽曲の感情を豊かに表現。3者の音楽的対話は極めて濃密であり、同時に洗練された内容と形式を示すところが素晴らしい。