シュナイダーハンは生粋のウィーンっ子で、195060年代に第2次大戦で人材の払底した独墺系奏者の唯一人の世界的名手として活躍した。清新でいて格調高い演奏で知られ、ベートーヴェンヴァイオリン協奏曲を得意とし、とくに1962年のヨッフムベルリンとの録音は名盤の誉れが高い。今年、同じ顔ぶれによる1959年のステレオ録音が発見され、世界初CD化された。演奏は62年盤より熱っぽく、ロマンティック。更に、彼自身が書いたカデンツァ(約5分)が62年盤(3分50秒)よりもずっと長く、技巧的であるのも興味深い。62年盤の洗練された演奏とはまた違う、若々しい魅力に溢れた演奏だ。

【参考動画】ヴォルフガング・シュナイダーハンによる
“ベートーヴェン:ヴァイオリン協奏曲”カデンツァ