(左から)Shingo Suzuki、関口シンゴ、mabanua

ヒップホップ、ソウル、ジャズ……Ovallの音楽は、そのどれでもあって、どれともちがう。ジャンルで言い表せない、だからどこにも属せなかった、と彼ら自身も語る。そもそも、2010年のデビュー作に掲げられた〈DON’T CARE WHO KNOWS THAT(誰がそれを知っていようが構わない)〉というタイトルからして、そのアティテュードは一貫している。

けれども、もちろんOvallの音楽はけっして聴き手を突き放すようなものではない。あたたかい包容力とパワフルに惹きつけるチャームを常に携えている。だからこそ、誰にも似ないインディペンデントなバンドとして、ここまで歩んできたのだろう。

そんなOvallが4年間の活動休止を挟んで、ひさしぶりのオリジナル・アルバム『Ovall』を発表する。セルフ・タイトル作ということで、どこか決意や覚悟を感じさせるが、実はここにはよりリラックスした姿勢が表れているのだとか。シンセサイザーを大胆にフィーチャーした楽曲が多いことなど、音楽的な変化と成熟、洗練を強く印象づける新作の背景を、Shingo Suzuki(ベース)、関口シンゴ(ギター)、mabanua(ドラムス)の3人が明かす。

Ovall 『Ovall』 origami(2019)

 

ローズ・ピアノ禁止令

――Ovallの前作は『In TRANSIT [Deluxe Edition]』(2017年)で、これはorigami PRODUCTIONSの会員制サイト〈Oshite〉で2012年にリリースされたものの拡大版でした。今回の『Ovall』は、フル・アルバムとしては活動休止前の『DAWN』(2013年)以来、6年ぶりですね。

Shingo Suzuki & 関口シンゴ「そうですね」

――最初のシングル“Stargazer”を聴いたとき、シンセサイザーが鳴っているので驚かされたんです。新作を聴くと“Come Together”や“Triangular Pyramid”など、シンセが使われた楽曲が多くて、新機軸だと感じました。

Suzuki「これまで鍵盤楽器はローズ(・ピアノ)がメインだったんですけど、3人のなかでは〈シンセもいいんじゃないか〉っていう空気があったんです。“Stargazer”のシンセはヤマハDX7を再現したArturiaのプラグインで、プリセットの音がいいのでそれを元に作っています。アップデートされたヴィンテージ・シンセ、みたいな印象の音で、そのエッセンスは大きく関わっていますね」

『Ovall』収録曲“Stargazer”

――DX7の音色って、最近よく聴くようになりましたね。

Suzuki「以前は〈ムーグ・シンセじゃなきゃダサい〉という風潮もありましたが、最近は80sや90sのリヴァイヴァルになってきている。80sといえばFM音源で、その代表格がDX7なんです。90sになるとPCM音源のチープな音色に変わってきますね※。たとえば、ブルーノ・マーズが80sや90sの音楽を大胆にかっこよく見せているとか――あれはギリギリ、パクリかそうじゃないかのラインですよね(笑)。

そういう状況もあって、なにか新しく聴かせたいなと思ったとき、グルーヴはこれまでと変わらないけど、着せるものを変えるだけでフレッシュに聴こえる、ということを意識しました」

※周波数変調を利用した電子音源。ヤマハが83年に発売したシンセサイザー、DX7に搭載されたことで一世を風靡した。PCM音源は録音した音を再生することができるサンプリング音源のひとつ

――でも、ローズを弾いてる曲も少なくないですよね。

Suzuki「最初に“Stargazer”を作ったとき、意気込みとしては〈ローズ禁止令〉が出ていたほどで(笑)。でもローズの音もOvallらしさに含まれていると気づいたこともあって、だんだん解禁されて」

――〈フレッシュなOvall〉と〈これまでのOvall〉の両方が入っている作品だと思いました。

mabanua「“Slow Motion Town”には初期に近い感じもあるんですけど、“Stargazer”には初期になかったテイストがありますね。音楽性が180度変わっちゃうと、活動再開を待ってくれていた人たちに対してどうなんだろうって。

いままでのOvallにはカラフルなところが多かったんですけど、うちらも年を重ねてきて、そんなにカラフルに、世に迎合しなくてもいい年齢になってきた。なので、シックにストイックにやろうって。アー写もそうだし、タイトルもメッセージを込めたものじゃなくて、シンプルに〈Ovall〉でいいんじゃないかなと。削ぎ落とされたソリッドさを提示したかったんです」

『Ovall』収録曲“Slow Motion Town”

――でも、Ovallが世に迎合していたイメージはないですね。

mabanua「バリバリ迎合していた部分もありましたよ(笑)」

Suzuki & 関口「できなかったんだろうね」

mabanua「どこにも属せないのが、うちらの弱みであり強みというか。〈ROCK IN JAPAN FESTIVAL〉とかにサポートで出たりすると、超アウェイですから(笑)。かといって、怖い人たちがいっぱいいる深夜のクラブみたいな場所にも居場所がない」

Suzuki「床屋で〈音楽をやっているんです〉って話になって、〈どんな音楽ですか?〉って訊かれたんだけど、一言で言えなくて(笑)。答えに詰まっているあいだに話題が流れました。かといって、〈『Ovall』という音楽をやってます〉とは言えないよね(笑)」

mabanua「気づいてくれる人には気づいてほしいんだけどね」

 

どこにも属せなかったけれど、確実に足跡を残しているOvallというバンド

――これは柳樂光隆さんがOvallへのインタヴューで言っていたことの受け売りでもあるのですが、以前よりもOvallが存在しやすいシーンに変わってきたとも思うんです。

mabanua「たしかにそうなんだけど、だからといって、いま盛り上がっている輪の中に入り込めるわけでもなくて。いってみれば、完全にデビューする時期をまちがえた。就職氷河期に就活していた、みたいな(笑)」

Suzuki「周りを見ずに作ってきたから、どこにも属せていないんだよね。最近はOvallから影響を受けているのがわかる、若くて新しいバンドもいますね。彼らはそれをわかりやすく歌謡曲的に表現し直しているので、裾野が広がって、ファンがOvallを知ってくれることもあります。それなりに続けてきて、ちょっとは足跡を残せているのかなって」

mabanua「ひとから聞いた話なんですけど、〈Ovallがなかったら、いまの俺らはなかった〉って言ってくれたバンドがいたらしいんです。あと、あるバンドのヴォーカリストが〈こういうドラムにしたいんだよ〉って俺の曲をメンバーに聴かせたっていう話も聞いて。〈なんだ〜〉みたいな(笑)」 

――〈言えよ〜〉って(笑)。

mabanua「〈素直になれよ〜〉ってね(笑)。ぜんぶ又聞きなんですけど」

Suzuki「一回り上の世代の人たちに気にしてもらえるのも、うれしいんですよね。真心ブラザーズのお2人が、“Take U to Somewhere”(2010年作『DON’T CARE WHO KNOWS THAT』収録曲)がどうやって組み上がっているのかを知りたいって言っていたとか。それも、伊藤大地くんから聞いたんだけど」

2010年作『DON’T CARE WHO KNOWS THAT』収録曲“Take U to Somewhere”

――もしかしたら、Ovallの3人は話しかけづらいのかも(笑)。

mabanua「感じが悪いんですかね(笑)」

 

Ovallは〈トルネード型〉で進んで行っている

――でも、いい話です。音楽って互いに影響し合って連綿と続いていくものなので、〈Ovall〉という基点や支点があるのはすばらしいことだと思います。もしかしたら、新作から新しい流れが生まれるかもしれませんし。最近、マイルス・デイヴィスの『Rubberband』という85年録音のお蔵入り音源に手を加えたものがリリースされたんです。あの作品や、80年代前半のマイルス・バンドで活躍したマーカス・ミラーのサウンドを思い出す瞬間も新作にはありましたね。

Suzuki「(関口に)セッションでよくやったよね。10年以上前、マイルス・カフェで〈80年代マイルス縛り〉のセッションしたこともありました。セッキー(関口)も来てくれたよね。懐かしいなあ。〈マーカスになれ!〉みたいな感じでフレーズを全部コピーしたり」

関口「今回は、初期に3人で集まってデモを作っていたころのことを思い出して、〈ああいう感覚もいいよね〉って話をしていたんです。インスト曲が多いのも、それと関係していて」

マイルス・デイヴィスの2019年作『Rubberband』収録曲“Rubberband Of Life”

――mabanuaさんが歌っているのが“Come Together”と“Paranoia”、Up Dharma DownのArmiさんが歌っているのが“Transcend”。それ以外はインストです。

Suzuki「Ovallはだんだん歌モノを増やしてきて、(活動再開後の)“Winter Lights”(『In TRANSIT [Deluxe Edition]』収録曲)も歌モノだったんですけど、自然とインストに立ち戻ったのかな」

Ovallの2017年作『In TRANSIT [Deluxe Edition]』収録曲​“Winter Lights”

――原点回帰?

Suzuki「ただ戻るわけじゃなくて、〈トルネード型〉で進んで行っている、というか。一瞬後ろに戻っているんだけど、渦を巻きながら前に進んでいる。同じモードをやるにしても、10年後の感覚でアップデートされているんです」

 

好きだったものを素直に出せるようになった

――シンプルな質問なのですが、新作のリファレンスってありますか?

関口「“Dark Gold”には、あきらかにありますね(笑)」

――トランペットが印象的ですよね。

Suzuki「デモのタイトルが〈ロイハー(ロイ・ハーグローヴ)〉だったんです(笑)」

『Ovall』収録曲“Dark Gold”

――あはは(笑)! まんまですね。

Suzuki「あと、〈サンダーキャット〉っていうデモもあって(笑)」

――じゃあ、“Come Together”が〈サンダーキャット〉なんですね。

『Ovall』収録曲“Come Together”

Suzuki「聴いてくれた人が〈あっ!〉って思ってくれればいいかなって。“Dark Gold”はRH・ファクター(ロイ・ハーグローヴのリーダー・バンド)の、重すぎずカラッとした音像や音色を目指しました。

ロイ・ハーグローヴが(2018年に)亡くなって、僕らもすごくショックを受けたんです。彼のトランペットのあの音色は〈Dark Gold〉だった――その意味でこの曲名にしました。この曲では類家(心平)くんが吹いてくれています。あと、“Desert Flower”のサックスは栗原健くんです」

関口「鍵盤は別所(和洋)くんですね」

――別所さんはツアーにも帯同されるんですよね。

Suzuki「僕らにはできないジャズ・ライクなソロが欲しくて、主にソロを弾いてもらっています。いまって、どの時代のリヴァイヴァルもありな気がしているんです。ただ、音色を新しくするのがトレンドだとも感じます。

今回は自分たちが好きだったもの、聴いてきたものを、素直に恥ずかしげもなく出せるようになったんです。昔は〈オリジナルです〉〈真似じゃないです〉って言いたかったんですけど」

――〈ロイハーじゃないです〉と(笑)。

Suzuki「そう。でも、いまは〈○○っぽい〉〈○○が好きなんだね〉って言われるのがうれしいかも」

関口「“Slow Motion Town”にはディアンジェロのオマージュのフレーズも入っているしね」

ディアンジェロの98年作『Live At The Jazz Cafe』収録曲“Me And Those Dreamin' Eyes Of Mine”

――オマージュとサンプリング感覚が一緒になったような。ジャズのアドリブで有名なフレーズを入れるのとも同じ感覚ですよね。あと、関口さんのギターの音色は、あまりジャズやソウルっぽくないとも感じました。

関口「Line 6のマルチ・エフェクターを買ったので、それで音を作って〈かけ録り〉しています。フィルター系とかモジュレーション系、ビブラートとか、いろいろ使っていますね。

制作を始めたころは、〈ローズとワウ禁止〉だったんです(笑)。Ovallではワウ(・ペダル)を踏みすぎていて……ワウってずっと踏んでおくものじゃないんです。音がめちゃくちゃ劣化するので、ここっていうときしか使わない。ただ、それがサンプリングされたような音に聴こえるのでずっと使っていたんですけど、あまりに使いすぎて音が似てきちゃったから、最初は禁止。でも、結局使っちゃったんですけどね」

Suzuki「まあ、〈禁止〉っていっても半分冗談なんだけど(笑)。それくらいのつもりで〈新しいものを作ろう!〉って感じだったんです。なんだかんだ2年弱くらい制作していたので、こだわりすぎる必要もないなってだんだん思えてきて」

 

うちらOvallだよね

――〈Ovall〉というセルフ・タイトルにはズシンとくるものがありました。決意や覚悟を感じたのですが、これは?

Suzuki「移動中の車の中でみんなで話しているうちに、〈セルフ・タイトルいいね〉ってなったんです。それをつけるに値する内容になったんじゃないかなって。

ファースト・アルバムでドカンとアイデンティティーを示した後、いろいろなテイストに挑戦してきました。そんななかでも〈モダンなブラック・ミュージックをベースにした骨太のインスト・バンド〉というのがまっすぐなOvallだって意識があったし、今回はシンプルで骨太な曲が揃っているので、セルフ・タイトルをつけてもハマる、腑に落ちるんじゃないかって思えたんです」

――アーティスト写真とジャケットがモノクロですよね。

Suzuki「シンプルにしたかったんですよね。mabanuaが〈こういう質感いいよね〉ってリファレンスに持ってきた写真があって、方向性が決まりました。

だから、〈覚悟〉や〈決意〉とは真逆の意味なんだけど、結果的には同じかも。〈やるぞ!〉みたいな感じではなくて、一周して力が抜けて素の状態になったときに〈うちらOvallだよね〉〈じゃあいっか〉みたいな感じ(笑)。Ovallとしてやっていくことを受け入れているんだけど、力は入ってない、という」

Ovallのアーティスト写真

 

通じ合うものを感じたUDDのArmiとの共演曲“Transcend”

――“Transcend”で歌っているのはフィリピンのバンド、UDDことUp Dharma DownのヴォーカリストのArmiさんです。どういう経緯で参加したんですか?

Suzuki「渋谷のサーキット・イヴェント〈SYNCHRONICITY〉に出演していて、紹介してもらったんです。ライヴも人柄も雰囲気も曲もよくて、音楽的にも通じ合うものがあって」

関口「渋谷のduo(MUSIC EXCHANGE)の前で会ったとき、通じ合うものがあったんです。今年の4月にはbonobosと3マンもやりました」

『Ovall』収録曲“Transcend feat. Armi (Up Dharma Down)”

――Up Dharma DownはOvallより、もうちょっとインディーっぽい感じがしますけど、どういう点で通じ合ったんですか?

Suzuki「形だけ挨拶することはよくあると思うんですけど、彼らはすごくオープンで、表面だけじゃない繋がりがあるんじゃないかなって思えたんです」

関口「〈一緒にやりましょう〉って言っても、だいたい実現しないじゃないですか。ただ、そのときはお互いにそう思ったんですよね」

Suzuki「高校や大学のクラスで〈あいつ友達になれそうだな〉って感じることがあるじゃないですか。そういう似た空気感は一瞬でわかるっていうか。

“Transcend”のデモを作ったのは僕です。自分で弾いたローズをサンプリングして、セッキー印のリヴァースのフレーズをチョップしてドロップに持ってきて。そういう音とArmiさんの声がすごくマッチしました。普段のArmiさんの歌よりキーが高めだと思うんですけど、そこも好きですね」

UDD(Up Dharma Down)の2017年のシングル“Sigurado”

 

『Ovall』での機材や録音方法・環境の変化

――シンセが前面に出ていること以外に、機材の変化などはありますか?

Suzuki「これまでは4弦のパッシヴ・ベースだったのが、今回はフェンダーの5弦アクティヴ・ベースを使ったので音が変わっています。セッキーやmabanuaの曲がCやDの低いキーだったので、それを1オクターブ下げて弾きたいなって思って。

origami PRODUCTIONSのスタジオ(big turtle STUDIOS)の録音環境がよくなったのも大きいかもしれません。いい環境で聴いてもらうと、濃さや密度の高さを感じてもらえるはず。あと、セッキーはギターをアンプ録りしなかったんだよね」

関口「アンプは一回も使ってないかな。前はラインで録ったものでもリアンプして最終的にはマイク録りしていたんですけど、今回は全部ラインで録りました。

ギターは最近、Rozeoというメーカーに自分用に作ってもらったものです。ピックアップがハイファイでレンジが広くて、上のほうまですごくきれいに音が出るから、エフェクターをかけてラインで録ると抜けがよくておもしろい音になるんですよね」

――ギターって、あんまりラインで録らないですよね※。

※ライン録音は、アンプから音を出してマイクで録音するのではなく、楽器をオーディオ・インターフェイスなどに直接繋げて録音する方法

関口「そうですね。でも、最近のスティーヴ・レイシーとかは……」

――iPhoneを使って録るらしいですね。

関口「そうそう。それでおもしろい音を作っています。ライン録りだと、エフェクターの乗りかたが露骨で、空気を通さずにピタッとくるから、良い意味でも悪い意味でも奥行きがない。今回はそれがハマったので、〈これってシンセ?〉みたいな立ち位置にギターがいます」

スティーヴ・レイシーの2019年作『Apollo XXI』収録曲“Playground”

Suzuki「シンセはLogicの音源とArturiaのV Collectionを使っています。Logicのプリセット音源をいじってルーム・リヴァーブをかけると、イマっぽい空気感が出るんです。(ピッチ・)ベンダーで音を変えながらリヴァーブをかけると張り付き感がなくなって、生楽器のように聴こえます。あとは(Roland)JUPITERやムーグも使っています。オルガンはLogicのハモンド・シミュレーション。“Transcend”のシンセ・ベースはLogicのプリセットです」

――プリセットでここまでできるんですね。Logicはいろいろなミュージシャンが使っているDAWですが、値段が安いから使われている印象もあります。

Suzuki「それは大きいですね。でも、サンプリング素材や音源がかなりいいんです」

 

mabanuaの4つ打ちは日本一

――Ovallは3人のソングライターと3人のプレイヤー、プロデューサーがいるところがおもしろいと思うんです。ただOvallのソングライティングは、デモを3人で広げていくやりかただと思うのですが。

Suzuki「デモを持ち寄って、集まってやるなかで曲になっていく感じですね」

――お互いにソングライターとしてどう思っていますか?

mabanua「ゴッチさん(Shingo Suzuki)はOvallの基礎を作り上げた人なので……」

Suzuki「創業者(笑)?」

mabanua「パナソニックでいうところの松下幸之助」

Suzuki「本田宗一郎みたいな(笑)」

mabanua「格言を残してきた人なんです(笑)。こっち(mabanuaとShingo Suzuki)は似ているので、ゴッチさんと俺にない部分をセッキーが補ってくれるようなライティングのやりかたですね」

Suzuki「セッキーはメロディーメイカーで、歌モノが得意ですね。彼がメロディーを乗せると、しっくりくるなって」

――シネマティック・オーケストラについて取材させていただいたときも、メロディーの話をされていましたね。

関口「僕がフォーカスしているところが、たぶんそこなんですよね。mabanuaさんとゴッチさんはトラックメイカーで、ドラマーとベーシストなので、グルーヴに対する考え方が自分にないものばかりだからおもしろい。〈そういう作り方ってあるんだ〉って驚かされますし、グルーヴからメロディーが引き出されることもあるので」

Suzuki「僕は、ベースを入れるのは最後で、鍵盤で作ることが多いから全体の雰囲気や印象を優先します。ガチガチのプレイヤーっていうより、プロデューサー目線というか。だから、セッキーがソロを弾いてメロディーを乗せてくれることで曲が完成するんです。

あとはある程度リズムをイメージしてmabanuaに任せちゃえば、いい意味で裏切ったビートを乗せてくれる。山ちゃん(mabanua)はセッキーと同じくらい、すばらしいメロディーメイカーだと思っています。インプットがたくさんあるから、プロデューサー目線で組み合わせるのがすごくうまい」

関口「引き出しがすごく多いんですよ」

Suzuki「ただ、複雑なことって意外としていないんです。ビートも実はシンプルでストレート。でも、彼のフィルターを通すことで不思議とカラーが出てくる。ハイハットのオープンとクローズとか、ちょっとしたタイミングのちがいに対して繊細で。

これは声を大にして言いたいんですけど、mabanuaの4つ打ちは日本で一番ですね。申し訳ないけど、他のドラマーと比べてみてほしいです。同じパターンなのに、ここまでちがうんだってわかると思います。そういうフィジカルを持ちつつ、メンタリティー的にもすごく深く音楽に入っていける、すばらしいミュージシャンだと思いますね」

――mabanuaさんの4つ打ちの魅力ってなんなんでしょう?

Suzuki「ビートのキレとスピード感ですね。軽くないんです。4つ打ちって、いろいろなジャンルに使われるじゃないですか。でもmabanuaのそれは、僕らが求めているのはこれだって思えるものなんです」

 

ツアーでは〈インスト力〉をより強く表現したい

――最後に、2020年3月から始まるツアーについて教えてください。

Suzuki「ツアーは来年、群馬を皮切りに大阪、福岡、名古屋でやります。鍵盤奏者の夏くん(村岡夏彦)との4人体制に別所くんという強力なサポートが加わってくれることになりました。それは、音楽的に〈インスト力〉をより強く表現したいっていう姿勢の表れでもあるんです。実際、録音でも鍵盤が占めている割合が大きいんですよね。東京と大阪では〈origami SAI〉の一環としてやります。origamiのアーティストと一緒に大きく盛り上げたいですね」

Ovallの2019年のライヴ映像。演奏しているのは『Ovall』収録曲“Stargazer”

mabanua「関口くんには何度もショルキー※を薦めているんですけど、サウンドハウスのページさえ開いてくれません(笑)」

※ショルダー・キーボード。ギターのように肩からストラップで吊るして演奏するシンセサイザー

――ショルキー……(笑)。

関口「じゃあ、次作で(笑)」

――録音で弾いていてもわからないのでは(笑)?

mabanua「次のツアーでやりましょう。ダブルネック・ギターと見せかけて、片方がギター、片方がキーボードになっているとか(笑)」

関口「それは新しいね(笑)」

――そんなのあるんですか?

mabanua「いや、ないから先駆けになってもらおうと(笑)。〈ダブルネック・ショルキー〉、なんで出ないんだろうね?」

関口「需要がないからでしょ(笑)」

――ところで、音楽的にショルキーは関係があるんですか?

mabanua「いや、見た目だけの問題ですね(笑)」

――そうですか(笑)。今後、ショルキーの時代が来るかもしれない……。

関口「メーカーに開発してもらわないとね」

 


INFORMATION


〈未来ノ和モノ〉第16弾キャンペーン
Ovall

1.〈未来ノ和モノ〉コラボ・ポスター掲出
掲出店舗:タワーレコード、TOWERmini全店(全国75店舗)
※TOWERminiもりのみやキューズモール店を除く。
掲出期間:12月3日(火)~16日(月)

2.〈未来ノ和モノ〉フリーペーパー:Ovall特集
配布店舗:タワーレコード、TOWERmini全店(全国75店舗)
※TOWERminiもりのみやキューズモール店を除く
配布開始日:12月3日(火)
※先着でのお渡し、なくなり次第終了

3. 抽選でOvallメンバー直筆サイン入り〈未来ノ和モノ〉コラボ・ポスターをプレゼント
ニュー・アルバム『Ovall』(OPCA-1042/OPCA-1043)をタワーレコードおよびTOWERmini全店、タワーレコード オンラインにてご購入いただいた方に、Ovallメンバー直筆サイン入り〈未来ノ和モノ〉コラボ・ポスターが抽選で当たる応募抽選付ポストカードを先着で差し上げます。
応募締め切り:2020年1月5日(月)
※PC、スマートフォンからのご応募が必須です
※ご応募にはタワーレコードメンバーズへの登録およびレシート番号の入力が必要です

https://tower.jp/article/feature_item/2019/11/25/0702

 


LIVE INFORMATION

Ovall Tour 2020
2020年3月15日(日)群馬・桐生 Block ※SOLD OUT
2020年4月25日(土)福岡・天神 The Voodoo Lounge
2020年4月26日(日)愛知・名古屋 CLUB UPSET

origami SAI 2020 Osaka
2020年4月5日(日)大阪 味園ユニバース
出演:Ovall/Kan Sano/Michael Kaneko/mabanua/Nenashi

origami SAI 2020 Tokyo
日時:2019年5月31日(日)東京・渋谷 TSUTAYA O-EAST
出演:Ovall/Kan Sano/Michael Kaneko/mabanua/Nenashi/関口シンゴ 他

http://ovall.net/live/2019/tour2020/