マレク・ヤノフスキの指揮で疾風の如く駆け抜けながら、精緻かつ腹の据わった骨太の音楽を一気に聴かせる。音楽史の重要作品とされる割には日本人には縁遠いオペラ「魔弾の射手」を〈暗いドイツの森のオペラ〉という縛りから解放する。速いテンポでたたみかけながらも、混濁した音が全くないのが素晴らしい。日本でも人気がうなぎ上りのテノールのシャーガーの野性的な声や、今が伸び盛りソプラノのダヴィドセンの新鮮な歌が華を添える。狩人の合唱も豪快な歌とホルンを聴くことができる。音質が鮮明極まりないことも付け加えたい。カルロス・クライバーの歴史的名盤に匹敵する録音の誕生を喜びたい!