実はオペラとして良い舞台上演に出会わないこの作品。アリア、二重唱、合唱を伴うメロドラマが舞台転換もなく激しい音楽により1時間の間に繰り広げられる。そしてクラシック音楽の世界で1、2を争う人気曲の間奏曲まである。この録音は純粋にマスカーニの音楽の素晴らしさを伝える。歌手が熱唱し間奏曲が全曲の頂点なる演奏ではない。歌も管弦楽も抑揚を重視して丁寧に演奏。ヤノフスキはヴェリズモ・オペラを指揮しても一貫して楽譜の音を明確に響かせる。弦楽を緻密に響かせ、例えばラストシーンのトリッドゥが歌い終わった直後の不気味なファゴットの響きに気づかされるなど、多くの発見がある。