『The Fallen Crimson』の新鮮さの背景にある音たち

 新たな6人体制によって新鮮な響きを得た『The Fallen Crimson』。もちろん、サポートを務めた3人が在籍するバンドもenvyに通じる美点を持つアクトばかりだ。現envyと同様のトリプル・ギターでシネマティックなポスト・ハードコアを炸裂させるheaven in her arms、ハード・ロック/ヘヴィー・メタル/ハードコアと歌謡性が交錯する9mm Parabellum Bullet、確固たるステートメントを掲げ、シーンでもとりわけレベルな佇まいで圧倒するkillieと、その音世界は三者三様。なお、9mmの滝はバンドメイトの菅原卓郎と不定形プロジェクトのキツネツキとしても活動中で、過去作のゲスト=〈取り憑かれメンバー〉には渡部の名も。また、ミニマル&アンビエントな音像を背にAchicoの歌声がたおやかに泳ぐRopesにも〈光を感じる音楽〉として『The Fallen Crimson』の聴き手を惹き付けるものが。個々の作品に耳を傾けることで、本作で起きた化学反応の面白味をより体感できるのではないだろうか。 *bounce編集部