孤高のレジェンドにして黄金のSSW:ニール・ヤングのアーカイヴ集第3弾に収録されていた1977年の未発表作『Oceanside Countryside』を、当時の自身が思い描いていた流れと曲順にリペアし“本来あるべき姿”にした本作。1978年の名作『Comes A Time』に先行して構想されレコーディングが行われていた本作収録の“Goin’ Back”“Human Highway”“Field of Opportunity”の3曲は、最終的に『Comes A Time』に収録され世に発表された。現役バリバリに活動と新作の制作を続ける彼の旅路は、普遍性を伴い時代に問いかける。ええやんええやん。

 


新録の作品も積み重ねながら自身のアーカイヴ整理にも精力的な御大ニール・ヤングだが、今度は77年に出すつもりで制作するもお蔵入りの憂き目に遭っていた〈幻のアルバム〉が公式リリース。一部の曲は『Comes A Time』(78年)などで世に出されていたもので、さらに昨年のボックスセット『Neil Young Archives Vol. III (1976-1987)』でもその全貌が収録されてはいたが、それとはヴァージョンが異なる曲も多く、今回はすべて当時のオリジナル・ミックスを用いて本人が想定していた曲順/ヴァージョンでのパッケージとなる。派手さはないものの出来は上々で、いつもと雰囲気の違うジャケも新鮮だ。

轟ひろみ
bounce 2025 May