全身から醸し出す雰囲気は彼の拠点が芸術の都であることを強烈に感じさせ、屈託のない笑顔の奥には作品同様の好奇心が満ち溢れている。そしてなにげない所作でさえも不思議と天才めいて見せてしまうそんな男、現代で最もユニークな音楽作品を創造するシャソールの5年ぶり新作がこれだ。雑踏の騒音やお喋り等をサンプリング、またはそこに音階をつけ、自身の鍵盤と相方のドラムを核にバンド演奏する、普段音楽として認識しないであろう音を音楽として聴かせる彼らしい童心蘇らせるものとなっている。個人的にはドイツの文豪ヘルマン・ヘッセの『ガラス玉演戯』に触発されたという点が嬉しい驚き。