1999年からDoremiレーベルでリリースが続いている『Emil Gilels Legacy』シリーズ。6年振り第11弾が発売。〈このような録音を聴けるのを待っていました〉と思わずにはいられない迫真の演奏。ベートーヴェンの協奏曲は、1、3楽章は、流れるようなタッチと情熱入り混じる力強いテクニック。一方で2楽章はじっくりと聴かせてくれている。ラフマニノフでは、まるで鍵盤と乱闘しているかのような超絶技巧。負けじとオケもくらいつく。音質の面は残念ながら決して良好とは言えないが、それでもライヴの緊張感溢れる音楽がひしひしと伝わってきてならなかった。