初のベスト盤も含むリリース・ラッシュの2018年、目標の日本武道館ワンマンを敢行した2019年、と進行形の歩みに節目を刻んだ般若が、12曲入りの通算12作目を投下。素っ気ない表題が示すように、よりシンプルに削ぎ落とした表現で歌心を深めた楽曲群は、こざっぱりしたリリックの温かみも相まって自然に統一感を湛えて響いてくる。PENTAXX.B.Fによる硬派な先行カット“INTRO”から、毒々しいリフ引用にニヤリとさせられる“SORIMACHI”、豪華夫陣で臨む“花金ナイトフィーバー Pt.2”まで硬軟取り混ぜた楽曲が並び、とりわけリリカルなKiwy製の“俺たちの曲は流れてる”に象徴される素朴な眼差しはラストの“手”に至るまで揺るぎなし。ラスボス感よりチンカスとしての最低な独自性を貫いた快作だ。