前作『12發』の発表以降もドキュメンタリー映画や、俳優業などを通じてみずからを表現してきた般若。昨年には自身が設立した昭和レコードを離れて新レーベルとアパレルブランドを立ち上げ、この春には児童虐待防止に向けた団体も設立するなど多様な動きを見せるなか、新レーベルで初のアルバムが完成した。置き土産とばかりに自由闊達にやり倒した前作から軌道修正し、真摯な思いをまっすぐ傾けた曲の矛先は我が子にも。みずからを振り返って語る確信に満ちた言葉は、傷ついた心にも温かい。生活圏で目にした児童虐待死事件を綴る痛ましい“2018.3.2”から、〈宇宙の果てから見たら俺らの存在すっげえ小せえ〉と軽やかに声を張る“じんせいさいこおお”への転調も鮮やかかつ彼らしい。