声優ならではの音楽表現を追求してきた3人組の3作目は、〈音楽の進化論〉をテーマにした野心作に。特に耳を惹くのは、前作『Some Dreams』収録の演劇的ラップ曲“あたしのなかのものがたり”を手掛けた三浦康嗣(□□□)による“記憶”。生活音を取り入れたビートが走馬灯のように駆け巡るなか、3人がそれぞれ一人の女性の人生の一場面を切り取って演じることで総体を成すコラージュ・ポップだ。“背中のWING”“耳の中へ”といった初期曲も月蝕會議の新アレンジで5年分の進化を刻んだほか、アカペラ多重録音で清廉なゴスペル調に生まれ変わった“わがままなアレゴリー!!!”、ふたつの新曲“忘却”“再生”が同時再生の手法で合体した“循環謳歌”など、実験精神とポップスの面白味が噛み合った一枚。