ハバナの街の喧騒と人々の息づかいの躍動から幕を開ける本作は、キューバの日常をジャズとして表したあまりに開放的で熱くエネルギッシュなピアノ・トリオ作。これまでもアフロ・キューバンの多彩な要素とモダン・ジャズの高次元の融合を成功させてきたアロルド・ロペス・ヌッサだがキューバ人メンバーとのトリオによるこのルーツ回帰と言える新作はまさに最高傑作。こんなときだからこそ、ここではない開放的な“どこか”へ行きたいではないか! 祖父に捧げたボレロは胸に染み、愛娘の超キュートな曲紹介で始まるマンボで自然と溢れる笑み。ラテン以外も違和感なくミシェル・ルグランに敬意を表したM3の哀愁には胸焦がされる。