約6年ぶりの新作がとにかく素晴らしい。タイトかつソリッドなAC/DCらしさを120%詰め込んだ純度の高さは、歌メロ、リフ、コーラスなど全編に張り巡らされている。ご存知の通り、2014年に引退したバンド創始者のマルコム・ヤングが2017年に他界。今作はアンガス・ヤングが実兄マルコムと共作していた楽曲マテリアルから構築したらしく、必然的に〈追悼作〉の色合いも浮上してくる。とはいえ、しんみりムードは皆無、シンプル・イズ・ベストを究極まで磨き上げた音のキレと深みは他の追随を許さない。“Demon Fire”を筆頭に既聴感を覚えるフレーズさえも生々しく響かせ、過去も現在も流行も超越した不動のロックンロールは大声で歌いたくなる親密な煌めきを発揮している。