ジャズピアニストでありながらメタルファンとしても知られる西山瞳さんによる連載〈西山瞳の鋼鉄のジャズ女〉。年末年始はテレビの他にも、動画ストリーミングサービスで視聴三昧という方も多かったのではないでしょうか? 西山さんはNetflixのドラマシリーズ「コブラ会」にハマったようで……。というわけで、今回は使用楽曲とともにドラマ「コブラ会」の魅力に迫ります! *Mikiki編集部

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年が明けて少し経ちましたが、2022年もどうぞよろしくお願いいたします。

私は大晦日にNetflixに入り直し(3度目)、Netflixでドラマと映画三昧の正月休みを過ごしました。映画やドラマ関係のストリーミングサービスの中でもNetflixは簡単に入退会ができるので、入っては出てを繰り返しています。

今回戻ってきた大きな理由は、「コブラ会」のシーズン4が大晦日から始まるから。

「コブラ会」は、映画「ベスト・キッド」シリーズの続編となるドラマシリーズ。最初はYouTube Premiumのみで配信されていましたが、2シーズン終わってから2020年夏に拠点をNetflixに移し、私はそのタイミングから見始めました。これがとにかく面白いんです。

「ベスト・キッド」で敵役だったジョニー・ローレンスが「コブラ会」では主人公になり、かつて所属していた空手道場〈コブラ会〉を再び立ち上げ、子供世代に教えられながら学んでいく物語です。

Netflixシリーズ『コブラ会』シーズン1~4独占配信中
 

端的に言えば、おじさんが葛藤しながら頑張る話なんですけど、昔の「ベスト・キッド」のキャストがそのまま年齢を重ね、非常に良い味を出していることに加え、子供世代の役者さんたちが本当に素晴らしくて、青春物語としても本当に楽しい。とても幸福な続編だと思います。

「ベスト・キッド」は2以降の映画は観ていなかったのですが、「コブラ会」を見た後に「ベスト・キッド」を見返し、更に「コブラ会」を続けて観ていくとより愛着が湧いて、新シーズンの配信を心待ちにしていました。

 

そして「コブラ会」で特徴的なのが、大事なシーンで使用される楽曲が懐かしの80年代ハードロックなんですね。主人公ジョニー・ローレンスは、価値観が80年代のものから徐々にアップデートされていく男性として描かれることもあり、80年代の曲がたくさん流れます。

またその選曲が非常に楽しく、的確で、流れる音楽も楽しみに観ているHR/HMファンも多くいらっしゃることだと思います。思わずにやりとしてしまう選曲だったり、その曲が流れるだけで当時の熱さを思い出したり、この曲何だったっけ?と思い出せず、気になって調べたり。

その頃特有の歌詞なのかもしれませんが、泥臭い内容の歌詞が多くて、〈まだまだ頑張れるぜ! 泥だらけになって這いつくばっても進むぜ!〉という、世の中のしがらみに疲れたり諦めかけたりしている中年の心に確実に火が付く選曲となっています。曲とドラマの文脈とのマッチ度が異様に高く、「ベスト・キッド」から観ているファンは絶対その調和を理解してくれるだろうと信頼しての選曲なのだろうと思います。

私自身としてもリアルタイムで体験して知っている曲たちではないので、もちろん有名な曲はわかりますが、知らないものもあって、それを調べる時間も楽しい。それに意外と新しいロックも混じっていて、発見があって面白いんですよね。

昨年の大晦日から始まったシーズン4の予告編は、こちら。

Netflixシリーズ『コブラ会』シーズン1~4独占配信中
 

使用されている曲は“Rock Of Ages”。デフ・レパード(Def Lepperd)の名盤『Pyromania』(83年)に入っています。