インタビュー

石丸由佳『パイプオルガンのクリスマス』小さいながらカラフルな音を紡ぐ〈おうちオルガン〉でアットホームな聖夜を

〈おうちオルガン〉のカラフルな音色でアットホームなクリスマスを

 今年のクリスマスは〈おうちで祝おう〉と思っている方におすすめしたいアルバムが、石丸由佳による『パイプオルガンのクリスマス』。バッハやクリスマス・キャロルなど、おなじみのメロディーをあたたかい音色で聴かせてくれるのが、石丸の新しい相棒となった〈おうちオルガン〉である。

石丸由佳 『パイプオルガンのクリスマス』 キング(2020)

 「コンサートホールのパイプオルガンより小さな、ハウスオルガンと呼ばれるタイプのオルガンです。とはいえ、この楽器はパイプが600本ぐらいついており、個人の家に入れるにはだいぶ大きいサイズ。行き場のなくなったパイプオルガンを譲り受けたのですが、それに合う部屋を探すのが大変でした」

 ようやく物件を見つけた石丸は、クラウドファンディングで支援を募り、一般にも開放した〈ココペリオルガンスタジオ〉をオープン。このスタジオで録音されたクリスマス・アルバムは、オルガンのスイッチを入れ、風が吹き込まれる音からはじまる。

 「スイッチのオン/オフ音だけでなく、鍵盤を押したときにワイヤーがカチャカチャいう音なども入っています。こうした音は、コンサートホールのオルガンだと決して聞こえませんが、ヨーロッパの教会にある歴史的楽器と呼ばれる古いオルガンを演奏するときはよく聞こえるので、奏者にとってはむしろカチャカチャと鳴る方が自然に感じるほどです」

 ヨーロッパ各地の教会でオルガン演奏をしてきた石丸だが、意外にもクリスマス・シーズンに演奏するオルガンの曲はあまりないのだという。そういった意味でも、“サンタが街にやってくる”“もろびとこぞりて”などを楽しい編曲で聴くことができるこのアルバムは、日本ならではのプログラムだといえる。

「ヨーロッパでは、教会の礼拝で賛美歌を歌ったり、バロック時代の曲を演奏することはありますが、クリスマス・ソングをオルガンで弾くといった風習はありません。厳かな空気のなかで静かにキリストの誕生を待つ期間なので、日本のような賑やかさはありませんが、私はどちらのクリスマスも大好きです」

 演奏するだけでなく、音色を作るのもオルガン奏者の腕の見せどころ。アルバムでは、このオルガンの持つ12のストップ(音色を変えるレバー)をすべて使って、あらゆる音色を聞かせてくれる。

 「音色を決めるのは色を塗っていく感じですね。12色の絵の具をパレットに出して、〈この黄色にちょっと赤味を足してみようかな〉といった具合。混ぜると別の色ができるので、組み合わせは無限に近いです」 レトロなぬくもりとカラフルな驚きに満ちた一枚は、きっとプレゼントにも喜ばれることだろう。

 


LIVE INFORMATION

りゅーとぴあ オルガン・クリスマスコンサート2020
『聖夜の饗演!~くるみ割り人形の世界』

○2020年12月24(木)19:00開演
会場:りゅーとぴあ 新潟市民芸術文化会館 コンサートホール
yukaishimaru.pecori.jp/

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