R&B調のイントロからアーシーなロック・チューンへ――。ハスキーで中性的な歌声を持つ20歳の初アルバムは、60~70年代の海外クラシック・ロックを素地とする旋律に根岸孝旨、小田原豊、是永巧一、中込陽大、友森昭一らがラグジュアリーなバンド・アレンジを施し、多彩な音世界を築いている。年に似合わぬ色気を放つ“la Sekirara”や表題曲など〈歌謡性〉というポピュラリティーもあり、ここからより広く羽ばたきそうな予感。
2020年、彗星の如く現れたシンガー・ソングライターMaica_nが早くもメジャー・ファースト・アルバム『replica』を完成。1年以上の制作期間をかけ、Maica_nの等身大の言葉と〈今〉できる最高のパフォーマンスを詰めこんだ記念すべき今作は、根岸孝旨、小田原豊、是永巧一、中内正之(セカイイチ)、gomes、友森昭一など錚々たるアーティストが彼女のサウンドを支えるほか、ゆずの岩沢厚治、ギタリストのクレイグ・スタル(Craig Stull)も参加するプレミアムな作品に仕上がっている。
デビュー当初からAORやシティ・ポップ、R&Bなど多彩なジャンルを歌い分け、その楽曲の数々をMaica_n色に染め上げてきた彼女だが、本作はMaica_nの著しい成長を感じさせるとともに、より一層大衆へ向けたメッセージ性と洗練されたサウンド、そしてリリックへ込めた思いの強さを感じることができる。
ストリングスを用いて、切ない情景を表現した王道のピアノ・バラード“Unknown”、アダルトな雰囲気を纏ったサウンドに叙情的なリリックを乗せた表題曲“replica”、そして映画「弁当の日」のエンディングテーマでもある“メモ書き”など、全15曲からなるこのアルバムは現時点でのMaica_nの最高傑作と言えるだろう。彼女が令和の歌姫と言われる日も、そう遠くない。そんな期待すらしてしまう至極のファースト・アルバムだ。