[Alexandros]から初のベスト・アルバム『Where's My History?』が届けられた。“ワタリドリ”、“Mosquito Bite”などの代表曲、新曲“風になって”などを収めた[A]盤、そして、“Starrrrrrr”、“city”といった改名前の代表曲を中心にした[C]盤による本作は、デビュー10周年を締め括ると同時に、この先の[Alexandros]を予感させる作品となっている。川上洋平(ヴォーカル、ギター)、磯部寛之(ベース、コーラス)、白井眞輝(ギター)、庄村聡泰(ドラムス)に、本作の制作と10年の軌跡、未来へのヴィジョンなどについて語ってもらった。
――2020年はデビュー10周年のアニバーサリー。予定されていたイベントやツアーや出来ませんでしたが、リモート・アルバム『Bedroom Joule』をはじめ、クリエイティヴはまったく止まってなくて。
川上洋平「制作は毎年やってることなので、2020年、特に力を入れていたわけではなくて。ただ『Bedroom Joule』は昨年でしか作れなかったアルバムだと思うし、いつもとは違う試みを楽しめたのかなと。この状況をどう切り抜けるか、どう楽しむかという方向に舵を切れたのは良かったし、ウチのバンドは強いなと改めて思いましたね」
磯部寛之「3月、4月は何もやることがなくて、どうなるかと思いましたけどね。ライブが出来なかったぶん、制作が目立った年になったのかな」
白井眞輝「この状況が10周年とブチ当たってしまって。予定していたことがすべて飛んだし、10周年を振り返る機会もあって。混沌とした1年でしたね」
庄村聡泰「1月24日に〈勇退〉を発表させてもらって。本来は5月に勇退するはずだったんですけど、延期、延期でここまで来た感じですね。8月にはZepp Hanedaの[Alexandros]のライブで司会としてステージに立たせていただいて、お客さんに極めて近い立場でライブを観ることもできて。〈“Dracula La”って、こんなにも気持ちを上げてくれる曲だったんだな〉と気付いたり……。ベスト盤のプロモーション活動に帯同させてもらってることも含めて、これまでの月日を愛でる時間になってますね」
――では、ベスト・アルバム『Where's My History?』について。[A]盤 [C]盤に分かれてますが、選曲はどのような方法で?
川上「メンバー、スタッフを含めて、それぞれ選曲したものを出し合ったんですけど、ほとんど一致でしたね。アーギュメント(議論)が多いバンドだし、オリジナル・アルバムの曲順はかなり話し合うんですけど、今回はそんなこともなく」
――[Alexandros]の〈ベスト〉に対する共通認識が出来ていた、と。
川上「そうですね。デビューから10年経って、7枚アルバムを出して、シングルもけっこうあって。最近バンドのことを知ってくれた人、興味を持ってくれた人は、どこから手を付ければいいかわからないだろうし、ぜひベストから入ってほしいなと。僕自身もベスト・アルバムは好きだし、ザ・ビートルズやビリー・ジョエルはベストか
ら入って、そこから旅が始まったんですよ。[Alexandros]もそういう旅をしてもらえるくらいの地図を作れたのかな、と」
磯部「ベスト・アルバム自体に思い入れがあるんですよね。高校一年のときにアメリカから帰国して、日本の音楽を知りたいと思って最初に買ったのがGLAYのベスト・アルバム『REVIEW』で、ずっと聴いてたんですよ。〈これを聴けば間違いなく、そのアーティストがわかる〉というものじゃないですか、ベストって。自分たちもそこま
で来たんだなって」
白井「ミックスし直した曲もあるし、久々にじっくり聴いた曲もありました。初代のドラムが叩いていた曲とか、それこそ10年ぶりくらいに聞いて、〈そういえば、こういう癖があったな〉と思ったり。そのときどきの背景や状況も思い返しましたね。バンド名を変えたり、いろんなことがあったので。渦中にいるときはよくわからなかったけど、いま思うと〈大変なことやってたな〉と」
庄村「意外と覚えてるんですよね。〈この曲の頃はあいつがこんなことをボヤいてたな〉とか。そのときどきの自分たちの胸の張り方が愛おしかったり」