世界中を呑み込んだ〈マムフォード・ジャム〉なる現象
軽やかに鳴るバンジョー、陽気な掛け声やユニゾン・ヴォーカル、ダンダンダンと打ち鳴らしながら身体に訴えかけるリズム――マムフォード&サンズが過去2枚のアルバムで提示したサウンドは、新しいフォークを定義付けるだけに留まらず、幅広いアーティストに模倣され、英米では彼らのようなスタイルを〈マムフォード・ジャム〉なんて言葉で形容するほど、音楽シーンのトレンドとなった。そのわかりやすい例を挙げると、マムフォードを参考にニュー・フォークの作法を採り入れたというアヴィーチー“Wake Me Up”に、イマジン・ドラゴンズ“It's Time”、ワンリパブリック“Counting Stars”あたりか。また、[Champagne]時代に“Starrrrrrr”でそれっぽいアプローチを見せていた[Alexandros]が、ふたたびマムフォード路線へと舵を切った最新シングル“ワタリドリ”や、COMEBACK MY DAUGHTERS“I WAS YOUNG”をはじめ、知らず知らずのうちに日本でも〈マムフォード・ジャム〉は浸透している(?)ことを補足しておこう。
もちろん、そうした外側への影響のみならず、ニュー・フォーク・シーンにも次々と頼もしいフォロワーが現れている。マムフォードの前座も経験済みのベアーズ・デンやアンソニー・ダマート、ヘイ・ロゼッタ!といったサウンド・プロダクション的に直系のチルドレンはもちろん、トラッド・フォークとプログレを掛け合わせた幻想的な音を奏でるドライ・ザ・リヴァーといった、マムフォードから自由なスタンスを引き継いだような個性派も躍進し、この界隈の盛り上がりはまだまだ収まりそうにないのだ。