*2021年4月28日追記
映画「くれなずめ」公開延期のおしらせ
2021年4月29日(木・祝)に公開を予定されていた映画「くれなずめ」は、新型コロナウィルス感染症の感染拡大に伴う日本政府の緊急事態宣言の発出を受けて、公開が延期になりました。今後の公開日は決定次第、映画のオフィシャルサイトで発表されます。 *Mikiki編集部


 

松居大悟監督が主催する劇団ゴジゲンで上演された「くれなずめ」が映画化
暮れなずむ6人のそれぞれの一瞬をとらえた青春ドラマ

 友達の結婚式で5年ぶりに再会した高校時代の仲間たち。思い出話に花が咲くなかで、それぞれが大切な仲間の死に向き合うことになる。劇作家としても活躍する松居大悟監督が、2017年に上演した演劇「くれなずめ」を映画化。主役の吉尾を演じたのは、近年出演作が相次ぐ注目の若手俳優、成田凌。笑いと感動をシャッフルしたようなユニークな物語の舞台裏を、二人が振り返ってくれた。

 

――「くれなずめ」は演劇の映画化ですが、舞台の時とはまた違ったアプローチだったのでしょうか。映画化の際に心掛けたことがあれば教えてください。

松居大悟「舞台では、披露宴会場の裏から動かないという設定なんですけど、映画はとにかくうろうろし続けることで彼ら(主要キャラクター6人)の居場所がない感じを出したいと思いました。プラス、昔の友達のことを思ったりする時って、フラッシュバックのように横顔とか手元とか細かいことばっかり思い出すじゃないですか。なので、回想シーンは主観的な絵(映像)にして、現在のシーンは客観的に撮ることで違いを出すようにしたんです」

――回想シーンを入れられるのは映画ならではの良さですね。成田さんは吉尾というキャラクターを演じてみていかがでした?

成田凌「吉尾って、周りにいる5人の言葉とかリアクションを通じて、どんな人物か浮かび上がってくるようなキャラクターだったと思うんです。だから自分からはアクションをしないようにして、どんな人なんだろうって探りながら、ふわっとしたまま演じました。ただ、みんなに対する愛情があるのは間違いないと思いますね。あと、ちょっと熱いことを言う。〈また集まりたいね〉みたいなことを恥ずかしげもなく言ったりして」

松居「ロマンチストなんだよね(笑)」

成田「そうです、天然ロマンチストな部分がありますね。僕自身そういうところがあるって言われたことがあって。ロマンティックまではいかないけど、嬉しいこと言ってくれるよねって」

――吉尾と共通する部分があったんですね。監督はなぜ成田さんをキャスティングされたのでしょう。

松居「ほかの作品でのお芝居を見ている時に、〈この人は何を考えているんだろ〉って目が離せなくなったんです。何が面白いのがわからないけど気になるっていうのが、吉尾みたいだと思ったんですよね」

――吉尾って主人公なのに目立たない、主人公らしくない立ち位置が面白い。この物語は吉尾と仲間たちの関係性や、彼らが生み出す空気感が大切だと思いました。そのために撮影に入る前にリハーサルの時間をいつもよりとったそうですね。

松居「一応、台本を持って動いたりするんですけど、それってあまり重要じゃなくて。一緒に飯を食ったり、同じ時間を共有することが大事だったんです」

成田「ご飯に行く時は俺から勇気を出して〈飯に行こうか?〉って言った方がいいよなって考えたりして。そしたら、みんな来てくれてよかったです(笑)」

――そうやって一緒に過ごす時間の中で関係性が生まれていった?

成田「歳はみんなバラバラで先輩後輩の間柄でしたが、共通言語は下ネタでした(笑)。そういうバカな話をしていると、みんな男の子に戻って距離が近くなるんです」

松居「芝居論なんて誰もしてなかったですね。〈このシーンはこんな風にやろうぜ〉みたいな話は〈くれなずめ〉的には恥ずかしいというか。そういう真面目な話をするより、だらだらしようよっていう感じだった気がします」

成田「役作りとかそんなにしてなかったし、芝居をする時は相手の雰囲気とかセリフに反応してたんですけど、出来上がった映画を観て吉尾が相手によって話し方が違うことに気づいたんです。例えばネジには割と強めなんですよ。だから、すごく仲良いんだろうなって。仲が良いとちょっと照れちゃって強い口調になる。演じている時はそういうことは意識してなかったんですけど」

 

©2020「くれなずめ」製作委員会

©2020「くれなずめ」製作委員会

――サラリーマンになった吉尾が欽一と屋台で飲みながら話しているシーンも印象的でした。すごく真面目に欽一に意見していて、これまでとは違う一面を見せていましたね。

成田「悪態ついたりして。でも、それって信頼しあっているからこそなんですよね」

松居「欽一にしか、ああいうことは言えなかったんだろうね。風俗帰りっていうのもあったのかもしれない(笑)」

――やっぱり、男はシモのつながりが友情を育む(笑)

成田「お互いの恥部をさらけ出すっていうのは重要です(笑)」

――そういう点でも、6人でやった赤フンダンスは友情を確認する重要な儀式ですね。

成田「俺、初めて踊った時にグッときちゃったんですよ。謎の感動があって(笑)」

松居「あれ、舞台ではスーツ姿で踊ってるんですよ。後のシーンの兼ね合いもあって。なので、映画でやるなら絶対、赤フンでやりたいと思ってました。みんなだけ赤フンなのは申し訳ないから、僕もカメラの横で赤フンになって(笑)」

成田「めっちゃ嬉しかったです。一緒に戦ってる感ありました。俺たちはカットがかかると上着を着せてもらえるけど、監督はそのままでした(笑)」

――監督もメンバーのひとりみたいな感じだったんですね。

成田「年齢が近いというのが関係あるのかもしれないけど、気さくに接してくださるし、監督としても絶対的な存在感がある。みんな監督のことは信頼してましたね」

――成田さんから見て松居作品の魅力はどんなところですか?

成田「いろいろありますが、ひとつはカッコ悪いことが色気に繋がる瞬間があることですね。この人、ふざけてるのかな、と思う時もありますけど(笑)。今回の作品も後半にクライマックス感あるシーンがポンポン続きますけど、その都度、引き戻されるじゃないですか。そういう展開も独特だし、このタイトルを思いつくのもすごいと思いました」

――このタイトルには、どういう想いが込められているのでしょうか。

松居「昼と夜のはざま、生と死のはざま、現実と虚構のはざま。いろんなはざまの物語にしようと思ったんです。僕は夕方っていう中途半端な時間が好きで、武田鉄矢さんの歌(海援隊“贈る言葉”)にある〈暮れなずむ〉って、どういう意味なんだろうと思って調べてみたんです。そしたら、〈日が沈みそうで沈まない状態〉ということがわかって。そんな曖昧な状態で居続けろ!っていう命令形にの言葉にしたいなと思って、このタイトルにしたんです」

成田「タイトルが映画のすべてを物語ってますよね」

――ラストシーンも印象的でしたね。10代の時の友達は特別なんだなって、改めてこの映画を観て思いました。2人にとって10代の頃の友達というのは、どんな存在ですか?

成田「昨日、高校の時の友人と会ってたんですけど、夜中にバカなことして腹がよじれるほど笑ったんです。高校の時とやってることが同じだなって思いました。それが高校の時の思い出にプラスされて過去になっていくんですよね。それが不思議です」

松居「思い出をしまう場所が違うんでしょうね。高校の時の友達に会うと高校の時の自分に戻る。ずっと高校の時の時間が続いているというか。延々、高校の時の話をしてるし」

成田「100回同じことを言って100回笑える。そんな仲なんですよね」

 


松居大悟 (まつい・だいご)
85年11月2日生まれ。福岡県出身。
劇団ゴジゲン主宰、全作品の作・演出を担う。2012年、「アフロ田中」で長編映画初監督。その後「スイートプールサイド」(2014年)、「私たちのハァハァ」(2015年)、「アズミ・ハルコは行方不明」(2016年)、「アイスと雨音」(2018年)、「君が君で君だ」(2018年)、「#ハンド全力」(2020年)など。枠に捉われない作風は国内外から評価が高い。2020年に自身初の小説「またね家族」を上梓。2021年1月より放送されるテレビ東京「バイプレイヤーズ」新シリーズと劇場版も手がける。

 


成田凌 (なりた・りょう)
1993年11月22日生まれ、埼玉県出身。
14年フジテレビ NEXT smart オリジナルドラマ「FLASHBACK」に主演し、俳優デビュー。主な出演作に、「キセキ −あの日のソビト−」(2017年/兼重淳監督作)、「ニワトリ★スター」(2018年/かなた狼監督作)、「ビブリア古書堂の事件手帖」(2018年/三島有紀子監督作)、「スマホを落としただけなのに」(2018年/中田秀夫監督作)、「チワワちゃん」(2019年/二宮健監督作)、「愛がなんだ」(2019年/今泉力哉監督作)、「さよならくちびる」(2019年/塩田明彦監督作)、「カツベン!」(2019年/周防正行監督作)、「スマホを落としただけなのに 囚われの殺人鬼」(2020年/中田秀夫監督作) 、「弥生、三月 君を愛した30年」(2020/遊川和彦監督作)、「糸」(2020年/瀬々敬久監督作)など。現在、NHK連続テレビ小説「おちょやん」に出演中。「まともじゃないのは君も一緒」(前田弘二監督作)、「ホムンクルス」(清水崇監督作)などが公開中。

 


FILM INFORMATION
映画「くれなずめ」

監督・脚本:松居大悟
音楽:森優太
主題歌:ウルフルズ “ゾウはネズミ色”
振付:パパイヤ鈴木
出演:成田凌 若葉竜也/浜野謙太/藤原季節/目次立樹 飯豊まりえ/内田理央/小林喜日/都築拓紀(四千頭身)
城田優/前田敦子 滝藤賢一 近藤芳正 岩松了/高良健吾
配給:東京テアトル(2020年 日本 96分)©2020「くれなずめ」製作委員会
近日公開予定
https://kurenazume.com