小規模公開の低予算映画ながら、見る者の恋愛トラウマ甦らせると口コミで全国のシネコンにまで拡大公開し大ヒット、リピーター客続出と圧倒的な支持を集めた角野光代の同名小説を今泉力哉が映画化。男女5人の片想いの物語を通して、登場人物を観客がじっと観察する映画である。面白いのは、登場人物自体が大きく変化することはないのだが、誰といるか、どの空間にいるかによって登場人物の印象が刻々と変わって見えてくるところだろう。 主演の岸井ゆきの、成田凌の実在感(必殺「追いケチャップ」!)は文句なく素晴らしい。脇役ながら本作の土台を担う人物を演じた江口のりこの存在感も絶品。