大人のサウンドを届ける超一流の店MZES

――ここで、今回I.T.RのアルバムをリリースするMZESのレーベル・オーナーである野本さんにもお話を伺いたいと思います。I.T.Rとの出会いとアルバムの制作に至った経緯は?

野本壮見(MZES)「昨年の1月に赤坂にライブのできるお店としてこのMZESをオープンしたところ、すぐに世の中がコロナ禍となりました。

そこで配信をメインとした環境作りをして6月にリスタートした時、そのタイミングで村田さんと知り合いました。そして、そこでI.T.Rのライブをやってもらったのですが、ベース2本というスタイルによる表現がとても新鮮に感じられたのです。話を伺ってみると、お二人ともそれぞれが各方面で活躍されていながらI.T.Rとしてはまだ作品を出していない。でもファンの方たちは10年間ずっとついてきてくださっている。それならば、私が協力することで何か一緒に出来ないだろうか、と考えたわけです」

――偶然にも、コロナ禍がきっかけとなったのですね。そして、レーベルを立ち上げた。

野本「こういう仕事に参入することについて、タイミングが良かったのか悪かったのか分かりませんが、前向きにとらえていこうと思いました」

野本壮見

――ライブをやった時のI.T.Rの客層はどんな感じでしたか?

野本「幅広い年齢層の女性たちでしたね。男性は、ほぼいませんでした(笑)」

IKUO「僕のお客さんに関して言えば、僕のやってきた音楽のジャンルが幅広いだけに、お客さんの音楽嗜好も幅広いんです。だから、僕がどんな音楽をやってもついてきてくれます。有難いことです。

それだけに、I.T.Rでは堅苦しい音楽をやるのではなく、わかりやすいものを提示して、リラックスして楽しんでいただこうと思っています」

TAKA「ここは赤坂という、考えてみれば立地としては最高の場所にあります。しかも、お店の中は調度から料理、お酒まで超一流の品ばかりが揃っています。MZESだからこその、華やかな夢を持てるような空間です。だから、音楽業界が華やかだった時代を経験してきた人たちにも評判がいいんですよ。

音楽業界の通常のルールに則ると難しいことも、ここで野本社長と考えていくと違うアイデアが浮かんできます。この、スーツを着たアルバム・ジャケットの写真からも、普通ではない雰囲気が伝わると思います(笑)」

野本「ライブ・スペースでもあり、レーベルでもあるMZESのテーマは大人のサウンドです。この機会にお店も改装しましたし、スタジオも隣に建設中です。ここで音楽制作を完結して発信できるようにしたいと思っています」

 

I.T.Rのライブ配信はエンターテインメントが重要

――配信という伝達方法については、どのような感触をお持ちですか?

TAKA「いろんなやり方があるでしょうが、何れにしてもお客さんが楽しめるモノを届けるという発想でないといけないと思います。テクニックや曲の構築とかも大事ですが、ライブやパフォーマンスに関してはエンターテインメントが重要だということで二人の意見は一致しています。だからI.T.Rでは以前から普段は演者が見せないような場面を意識的に作ってきました。配信を使っての表現はバラエティっぽく番組を作っている感覚に近いですね」

IKUO「配信を単なるライブ形式の一部と考えるとネガティヴな仕事になりますが、一つの番組を制作しているとポジティヴに考えるなら面白い仕事になってきます。

僕の中ではユルい部分が配信とリンクしていて、気楽に楽しんでもらえるモノを作りたいんですよ。僕達がテクニカルなミュージシャンであるが故のギャップを活かすという意味でもね」

――ナルチョこと鳴瀬喜博とのThe Choppers Revolution(チョパレボ)とI.T.Rとの関連性は?

TAKA「僕達二人、共通の尊敬するベーシストがナルチョさんなんです。I.T.Rを始めて1年ほど経った時にナルチョさんにお声がけしたのですが、最初は〈そういうベース・バトルみたいなのは、これまでに何度もやってきたから、もういいよ〉って断られたんですが、〈バトルではなくて、ベースでアンサンブルしたいんです〉と説得したら、OKをいただけました。ナルチョさんが入ることでユニットの芯ができましたし、これならベース業界自体を震わせることが出来るのではないかと考えました」

The Choppers Revolutionの2020年のホーム・セッション動画

IKUO「ずっと憧れの人だったので、ご一緒できて嬉しかったです。3人でやるチョパレボは既にアルバムを2枚発表していますがI.T.Rはまだだったので、10周年というタイミングで出したいという旨はナルチョさんにもお伝えしました。だから、このアルバムが完成した時には、いの一番で届けています。PVにも声だけで参加してもらってますしね」