TOWER DOORSが注目のアーティストやレーベルを選出して猛プッシュする企画〈TOWER DOORS POWER PUSH!!!!〉。現在私たちが推しているのは、シンガー・ソングライターのa子です。前回は、彼女の音楽性やセルフ・プロデュースへのこだわりなどについて深堀りしたロング・インタビューをお届けしました。

今回は、彼女が率いるクリエイティヴ・チーム〈londog〉をフィーチャー。a子を含め、メンバーの齊藤真純、たなべゆうき、中村エイジがインタビューに答えてくれました。彼らの目的や美学、今後の目標などについて、いろいろと語っていただいています。なお、記事では2021年6月30日にリリースされた新曲“somewhere”のミュージック・ビデオの貴重な撮影風景も交えていますので、お見逃しなく。

また前回同様、テキストだけでなく、Zoomでのインタビュー映像もTOWER DOORSのYouTubeチャンネルで公開しています。londogの空気感に触れることができますので、併せてチェックしてみてください。

londogへのインタビュー動画


 

a子を支えるlondogが結成されるまで

――londogが結成された経緯や背景について教えてください。

a子「ミュージック・ビデオを作りたいなと思って、高校の後輩であるたなべくんが東京でカメラマンやっていると知りまして、連絡して結成しました」

たなべゆうき「僕は元々映像をやりたくて、東京に出て専門学校で学んでいたんですけど、a子さんが東京にいることを全然知らなくて。たまたま同級生づたいに(東京に)いることを知って、a子さんもなんとなくではありますが、僕がカメラをやっていることを知ってくださっていて、声をかけてもらって参加した形になります」

齊藤真純「たなべくんが参加したのが、”CHAOS”(2020年)のMVを制作したときで。その前が”熱帯夜”(2020年)だったのですが、最初のMVを制作するとき、作るのは僕たちしかいないし、作り方もわからなかったのですが、自分たち総出でやればなんとかなる、みたいに思ってて(笑)。そのMVを編集した日に、動画の編集の仕方を一夜漬けで一生懸命勉強して、みんなで頑張って完成させて……。それがlondogの最初の仕事、という感じです」

――なるほど。では、メンバーそれぞれの役割について教えてください。

たなべ「撮影全般を担っているのが僕と、鈴木けいとくん。あとはスタイリストのよしだゆうきさん、ヘアメイクのおぎたなつこさん。その他のことには、バンド・メンバーが基本参加してくれています。全体で10人前後で動いていますね」

齊藤「時折、CGとか3DCG専門の人が参加します。その人は僕の学校の同期で、neat.comという名義で活動しています」

――〈londog〉という名前の由来は?

a子「うちの実家の犬が〈ロン〉って名前で、〈londog〉にしました! 真純とたなべが入る前に〈バンド・メンバーのチームの名前を決めようぜ〉ってなって、そこでぼんやりと決まった形になります」

齊藤「僕が最初に遊びに行ったときに、a子が〈真純もlondogに入るのか(笑)?〉みたいなことを言われまして、〈londogってなんかかっこいいな〉という感じで入りました(笑)」

――londogはMVなど、a子さんのヴィジュアル表現をするチームだと理解していますが、具体的にどんなことをしていますか?

a子「MV撮影はもちろんなんですが、Tシャツを作ったりライブ映像を撮影したり、CDも自分たちで作っております」

たなべ「最近は、作成途中ですがホームページも作ったりします。基本a子さんの周りで起こることは、なんでもlondogを一度通して物事に取り掛かっています」

――CDの制作は、業者さんへの発注やデザインも含めて、全てやっているということでしょうか?

齊藤「デザインとかジャケ写、中のブックレットも全てチームでやっています。そういう新たな制作をする都度、〈イラレってなに?〉という感じで学んでいってます(笑)」 

 

行きついたのは〈アーティスト・ファースト〉の理念

――londogの目的や方針はありますか?

a子「いつかは他のアーティストのMVを作ったりもしてみたいですね」

齊藤「ちょっと先の話ですが、ゆくゆくはいろんなアーティストを呼んで、〈半分レーベル半分クリエイティヴ集団〉みたいな存在にはなりたいですね」

たなべ「自分たちのできることが必然的に増えて、いろいろできるようになったら、きっとそういうこともできると思います」

――メンバーの間で共通するもの、共有している方向性や美学があれば教えてください。

a子「〈アーティスト・ファースト〉にいつも考えております」

齊藤「やっぱりアーティストが表現しているものを高い水準で作れたら、それに越したことではないので、みんなそこは共通して思っていることだと思います」

――その共通認識を持ったきっかけはなんでしょうか?

たなべ「メンバーでいつも話をしているなかで出てくるのが、音楽活動をしてらっしゃる方たちがいかに大変かということです。a子さんも、もちろんそうなのですが。londogはいろんなことをやっていますが、それらを1人で表現することはとても大変なことなので、そういう部分をいかに解決できるのかというのを考えて、アーティスト・ファーストという考えに行きつきました」

――なにかからの影響とかではなく、自主的にたどり着いたということですね。

齊藤「そうですね。あとはa子の無茶ぶりが多いという話がありましたが、〈あれやって!  これやって!〉というのを実現していくのがミッションなので、そういう点からもアーティスト・ファーストに行き着いたのかもしれません(笑)」