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コラム

テデスキ・トラックス・バンド(Tedeschi Trucks Band)『Layla Revisited』ロック史に残る名作『いとしのレイラ』を全曲再現した運命的な一枚

©StuartLevine

スーザン・テデスキとデレク・トラックス、それぞれにとって特別な意味を持つ運命のアルバム『Layla And Other Assorted Love Songs』が、彼ら自身の手でいま甦った……

 1970年11月9日にリリースされたデレク&ザ・ドミノス『Layla And Other Assorted Love Songs』は、ロック史上に残る名盤として挙げられることも多い傑作である。このバンドはエリック・クラプトンがキャリアの過渡期にデラニー&ボニー&フレンズからボビー・ウィットロック(キーボード)、カール・レイドル(ベース)、ジム・ゴードン(ドラムス/ピアノ)を引き抜いて結成した4人組で、同アルバムはトム・ダウドのプロデュース。クラプトンが親友ジョージ・ハリソンの妻パティ・ボイドに横恋慕して表題曲“Layla”を書いたエピソードは有名だろうし、同曲のピアノ・コーダ部分にあたる美しいメロディーはジムが当時の恋人リタ・クーリッジから盗作したものだったということも知られた逸話かもしれない。

 が、何より本作で語られるのはゲストとして大半の曲でリード/スライド・ギターを演奏したデュアン・オールマン(オールマン・ブラザーズ・バンド)の存在感で、なかでもハイライトとなる“Layla”での激しいスライド演奏は印象的なリフも相まってこの曲を特別なものにした。先だってもDJキャレドが〈あのパート〉を執拗にサンプリングした“I Did It”で話題になったものだ。

 そんな名盤と同じ1970年11月9日に生まれたのがスーザン・テデスキ(ヴォーカル/ギター)である。そして彼女と公私に渡るパートナーとなるデレク・トラックス(ギター)は、両親がかの名盤のファンだったことからデレクと命名されたという。しかも彼の叔父はオールマン・ブラザーズ・バンドのブッチ・トラックスで、デレクも99~14年にはオールマン・ブラザーズ・バンドに在籍。さらに2006年にはクラプトン御大のツアーにも同行していた(その際にクラプトンは〈デレク&ザ・ドミノスにいる気分になった〉として当時のナンバーをセットに組み込むようになった)。そんな繋がりのある夫妻なだけに、『Layla And Other Assorted Love Songs』を全曲カヴァーするという試みはある種の運命的なものだったのかもしれない。そのパフォーマンスを丸ごと収めたのが、このたびリリースされた『Layla Revisited (Live At LOCKN’)』である。

TEDESCHI TRUCKS BAND 『Layla Revisited (Live At LOCKN’)』 Fantasy/Concord/ユニバーサル(2021)

 収録されている音源は、2019年8月に開催された〈LOCKN’ Festival〉で一回限りの全曲演奏ライヴとして彼らがサプライズで披露した際の模様。スペシャル・ゲストとしてフィッシュのトレイ・アナスタシオ(ギター/ヴォーカル)、さらにはクラプトンとも縁深いドイル・ブラムホール2世(ギター/ヴォーカル)を迎え、感情を掻きむしるようなギター・リフとテデスキのソウルフルなヴォーカル、そして14人編成のアンサンブルで名盤に収められた楽曲群をパワフルに再構築した。デレクはこのように語っている。

 「私がギターを弾きはじめた頃には、デュアン・オールマンの(“Layla”での)スライドの音に、ほとんど憑りつかれたかのように夢中でした。このアルバムの精神、喜び、無謀さ、そして必然性。私の父は私と弟が寝るときにそのレコードをかけて、私のDNAに深く刻み込んでくれたのです」。

 テデスキ・トラックス・バンドは『Layla And Other Assorted Love Songs』収録の14曲のうち、13曲をオープニングの“I Looked Away”から曲順もそのままに披露。クラプトン作の人気曲“Bell Bottom Blues”や“I Am Yours”、クラプトンとウィットロックの共作した“Tell The Truth”“Why Does Love Got To Be So Sad?”、さらにはブルース・スタンダードやジミ・ヘンドリックス“Little Wing”を含むカヴァー……その最後に控えるハイライトの13曲目が“Layla”である。

 なお、オリジナル14曲目の“Thorn Tree In The Garden”はフェスでは客出しの音楽として流されたそうだが、この『Layla Revisited』ではスーザンとデレクの二人きりで演奏した親密なスタジオ・ヴァージョンにて収録。業の深い名盤のカヴァーがそんな形で締め括られるのもどこか微笑ましく思えるのではないだろうか。

左から、デレク&ザ・ドミノスの70年作『Layla And Other Assorted Love Songs』(Polydor)、エリック・クラプトンの92年作『Unplugged』(Reprise)、オールマン・ブラザーズ・バンドのライヴ盤『Cream Of The Crop 2003』(Peach)

 

左から、テデスキ・トラックス・バンドの2010年作『Revelator』、2012年のライヴ盤『Everybody’s Talkin’』、2013年作『Made Up Mind』(すべてMasterworks)、2016年作『Let Me Get By』、2017年のライヴ盤『Live From The Fox Oakland』、2019年作『Signs』(すべてFantasy/Concord)、マイク・マティソンの2020年作『Afterglow』(Landslide)、ドイル・ブラムホール2世の2018年作『Shades』(Provogue/Mascot)、エリック・クラプトン主催フェスのライヴ盤『Eric Clapton’s Crossroads Guitar Festival 2019』(Rhino)、フィッシュの2020年作『Sigma Oasis』(Jemp)、DJキャレドの2021年作『Khaled Khaled』(We The Best/Epic)

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