Photo by Akira Uji

2021年10月21日、裸のラリーズのオフィシャルサイトがオープンした。

水谷孝(ボーカル/ギター)を中心とするロックバンド、裸のラリーズ(Les Rallizes Dénudés)。67年に京都の同志社大学で水谷と中村武志(ギター/ベース)、若林盛亮(ベース)、加藤隆史(ドラムス)の4人によって結成され、以降メンバーチェンジを繰り返しながらライブをおこなってきた。バンドには、山口冨士夫(ザ・ダイナマイツ/村八分/ティアドロップス)や久保田麻琴、高橋ヨーカイ、三浦真樹、Doroncoといったミュージシャンが一時的に在籍。バンドは、96年10月4日に神奈川・川崎のクラブチッタでおこなった公演を最後に沈黙していた。

裸のラリーズは、その強烈なライブパフォーマンスやライブの回数の少なさ、水谷やバンドを取り巻く神秘的なイメージ、また90年代までオムニバスなどを除いてオフィシャルの作品がほとんどリリースされなかったことから、〈幻の〉〈伝説の〉といった形容をされることが多い。2000年代以降は国内や海外で多数のブートレッグが流通し、ライブもおこなわれないことから、その神秘性に拍車がかかっていた。

そんな裸のラリーズのオフィシャルサイトが先日、突如オープンした。トップページでは〈Takashi Mizutani 1948-2019〉と水谷が2019年に亡くなっていることが示唆されており、これを受けて多くのファンが驚きや追悼の言葉をSNSで述べている。

ステートメントによると、同サイトは、「『裸のラリーズ』に参加したミュージシャン、および関係者からの協力を得て、『The Last One Musique』によって開設され」たものだという。さらに、「我々『The Last One Musique』は、『裸のラリーズ』の音源に関する法的な権利を有した世界唯一のレーベルであり、これまで20年以上にわたって流布してきた海賊盤よりも鮮烈な音/的確なプロダクションによって、水谷孝の音楽を提供していく、という目的を持ってい」るとのこと。

サイトでは、73年に東京・吉祥寺のライブハウス〈OZ〉で録音されたオムニバスアルバム『OZ DAYS LIVE』の新装リイシュー91年にリリースされた数少ない公式作品である『’67-’69 Studio et Live』『Mizutani / Les Rallizes Dénudés』『’77 Live』の3作の再発を計画していることが発表されている。いずれも詳細は今後発表されるとのことなので、続報を待ちたい。

加えて、裸のラリーズのオリジナルメンバーである中村趫(中村武志)の写真展〈Kyo Nakamura Photographs 幻の50年 HAPPENING’S FIFTY YEARS TIME AGO〉が2021年10月26日(火)から京都・河原町のGallery Maronieで開催されることも告知されている。

他にも同サイトでは、貴重な写真の数々バンドに関わった者の証言に基づくバンドヒストリーなど、さまざまなコンテンツを見ることができる。

バンドの沈黙から25年経った2021年、突如動きはじめた裸のラリーズをめぐる状況。〈The Last One Musique〉のこれからの活動に期待が高まる。

 

*久保田麻琴さんのインタビュー記事についての補足
Mikikiが2020年6月4日に掲載したインタビュー記事〈久保田麻琴が振り返る70年代の日本のロック 夕焼け楽団、細野晴臣、裸のラリーズ……〉で、久保田麻琴さんが「最近、水谷(孝)と話をした」と語っています。久保田さんによれば、これは2019年の夏のことだったそうです。久保田さんの発言について、Twitterを中心に誤解や憶測が生まれておりますので、改めて正確な事実をお伝えさせていただきます。

 


EXHIBITION INFORMATION
Kyo Nakamura Photographs
幻の50年
HAPPENING’S FIFTY YEARS TIME AGO

2021年10月26日(火)~2021年11月7日(日)京都・河原町 Gallery Maronie Space 5
時間:12:00~19:00(日曜日は18:00まで)
休廊:月曜日
http://www.gallery-maronie.com/next-space5/7114/