BBCやブリット・アワードの青田買いリストに載った南ロンドンの23歳による初作。空気を一変させるハスキーでスモーキーな歌声はエイミー・ワインハウスを思わせるが、本人いわくビリー・ホリデイやニーナ・シモンからの影響もあるという。いずれにせよそのヴォーカルは埃っぽいR&Bやレトロ・ソウルに抜群に合うし、“Power”などでトリップ・ホップ風味の煙たさや陰りを纏った姿も似合う。また、ダビーな“Trouble”などではソウル由来ではない南アジア的な抑揚も披露するが、これはアイルランド人の父とバングラデシュ人の母の両方から得た音楽的ルーツが表れているのだろう。終わった恋を未練なさげに歌う“When You Were Mine”をはじめ、サッパリした下町娘っぽさがあるのも良い。