TOMCのニューアルバム『Music for the Ninth Silence』が2022年1月7日（金）、日本時間16:00にリリースされる。
ビートミュージックやアンビエントを制作しているプロデューサーのTOMC。カナダのインナー・オーシャン（Inner Ocean）や日本のLocal Visionsなどから精力的に作品を発表しており、そのサウンドは〈アヴァランチーズ・ミーツ・ブレインフィーダー〉と評されている。
その一方で、レアグルーヴやポップミュージックに造詣が深く、プレイリスターとしても知られており、〈〇〇のカタログがサブスク解禁〉というニュースが報じられた直後に彼が編んだプレイリストを発表することはいまや恒例になっている。また、その知識を活かして「ニューエイジ・ミュージック・ディスクガイド」「シティ・ソウル ディスクガイド2」などの書籍で執筆も行っており、Mikikiにはリトル・シムズ（Little Simz）の新作『Sometimes I Might Be Introvert』について寄稿してもらった。現在はサイゾーで〈ALT View〉を連載しており、B’zやZARDなどについて独自の視点から綴っている。
そんなTOMCの新作『Music for the Ninth Silence』は、彼にとって初のアンビエントフルアルバムだ。吉村弘やエリック・サティ、スティーヴ・ライヒなどを意識したTOMC自身による電子ピアノの演奏によって制作されており、全8曲の演奏時間は4分33秒に統一されている。さらに、各曲のタイトルは、心理学者カール・ユングの8つのタイプ論と、TOMCが想起した東京都内の地名を併せ持った形式で統一されており、〈カテゴライズできない感情や、静寂の時間〉を東京という大都市になぞらえた、コンセプチュアルな意欲作に仕上がっている（なお、TOMCのnoteでは、レーベルによる解説の日本語訳とTOMC自身による詳細な補足を読むことができる）。
アルバムからは現在、収録曲“Extraverted Sensing (Akasaka)”がインナー・オーシャンのSoundCloudで先行公開中。
本作をリリースするインナー・オーシャンは、2012年の設立以降、bsd.uやeeveeをはじめ、現代のローファイヒップホップムーブメントの立役者を多数輩出したレーベルだ。シーンの中心的な存在だった一方で、サブレーベルのドリフト（Drift）からアンビエント作品を並行してリリースしてきた歴史がある。しかし、『Music for the Ninth Silence』はインナー・オーシャン本体からのリリースとしては異例の全編ビートレスの作品で、レーベルやシーンのファンにとって見逃せない、特異な立ち位置の作品と言っていい。
『Music for the Ninth Silence』は、限定販売されるカセットテープの予約がレーベルのオフィシャルサイトで始まっている。また、SpotifyとApple Musicでのプリセーブもできるようになっているので、ぜひチェックしてほしい。
RELEASE INFORMATION
TOMC『Music for the Ninth Silence』
レーベル：Inner Ocean
リリース日：2022年1月7日（金）
品番：INNER164
リリース形式：デジタル／ストリーミング／カセットテープ
TRACKLIST
1. Extraverted Sensing (Akasaka)
2. Extraverted Intuition (Shibuya)
3. Extraverted Thinking (Shinjuku)
4. Extraverted Feeling (Kudan)
5. Introverted Sensing (Hibiya)
6. Introverted Intuition (Tsukiji)
7. Introverted Thinking (Kiyosumi)
8. Introverted Feeling (Nihonbashi)
PROFILE: TOMC（トムシー）
ビート&アンビエントプロデューサー／キュレーター。カナダのインナー・オーシャン、日本のLocal Visions等から作品をリリース。〈アヴァランチーズ・ミーツ・ブレインフィーダー〉と評される先鋭的なサウンドデザインが持ち味で、近年はローファイヒップホップやアンビエントに接近した制作活動を行なっている。レアグルーヴやポップミュージックへの造詣に根ざしたプレイリスターとしての顔も持ち、「ニューエイジ・ミュージック ディスクガイド」「シティ・ソウル ディスクガイド2」（ともにDU BOOKS）などの書籍や、Mikiki等ウェブメディアへの寄稿も行なっている。現在はサイゾーで〈ALT View〉を連載中。
