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みんなどこかで主人公になってる

まちだガールズ・クワイア 『オリオン座流星群』 SAT(2022)

 そうしてめでたく完成を見たニュー・アルバム『オリオン座流星群』は、昨年1月のワンマン・ライヴでも冒頭で歌唱されていた“星めぐりの歌”(宮沢賢治の作詞・作曲)で幕を開ける。

 「ライヴで見せたかった雰囲気が、この1曲目で伝わったと思うんです。一気に宇宙感にもっていく曲」(さきこ)。

  “プラネタリウムのある町で”は、矢舟テツローが作詞・作曲・編曲を手掛けたジャズ・コンボ風の明るいナンバー。〈プラネタリウムのある町で私は育ったのでした〉という一節があるが、町田にもかつてプラネタリウムがあった。

 「矢舟さんは、町田市民ホールで初めてのワンマンをしたときにバンドで参加してくださって。それに、町田のご出身でもあるんです」(もえか)。

  “星空のシンセサイザー”は、プロデューサーの石田ショーキチがアルバム用に最初に書き下ろしたロマンチックなシンセ・ポップ。かの映画へのオマージュもそこかしこに。

 「やはりショーキチPの新曲はメンバーみんな〈歌いたい!〉って心待ちにしていて。初めて聴かせてもらったときも、みんなで〈めっちゃいい! これ絶対、ファンの人も好きだよ〉って」(もえか)。

 「ショーキチPから、〈レコーディングの時までに全員『未知との遭遇』を観ておきなさい〉っていうお題が課せられたんですが、楽曲のイメージともすごくぴったりで」(えりか)。

 “銀河ステーション”のアルバム・ヴァージョンを経て、ハーモニーも際立つドリーミー・ポップ“ひとつぼしポラリス”へ。曲を手掛けたのは、石田の旧い友人でもある宮城在住のテクノ・ユニット、スノーモービルズの遠藤裕文。さらにmicrostarからの提供曲“Voice In Space”は、ラー・バンド“Clouds Across The Moon”風情のファンタジックなナンバー。続く“セブンスターズ”は、町田市を拠点とする彼女たちのパーソナルが見え隠れするピアノ・ポップ・チューンで、SEBASTIAN Xの永原真夏が作詞・作曲している。

 「“セブンスターズ”は、あいねが真夏さんと直接お話をしたうえで書いていただいた曲なので、そういう意味では楽曲制作において新しい一歩を踏んだ曲なのかなって思います」(えりか)。

 「真夏さんのほうからもメンバーへの質問をたくさんいただいて」(あいね)。

 「歌詞の世界観が心にグッときて、歌っていても楽しいし、ライヴで歌っていたときに泣きそうになりました」(のぞみ)。

 “Moon base(album ver.)”からの、楽しいスカ・ナンバー“遊星少女マチルガ”は、もえかがコーラスとしてライヴ・サポートしていたSOLEILのサリー久保田が作詞・作曲。そして、まちガともたびたび対バンを行ってきたLiLii Kaonaのソングライター/プロデューサー・三嶋道人による“星ノ栞”では、ソロ・パートを回しながらアーバン・テイストのメロウネスを聴かせる。

 「曲によってスポットライトの当たるメンバーが変わる……っていうのが今回はけっこうあって」(ほのか)。

 「みんなどこかで主人公になってる。3部編成のパートも、普段メゾソプラノ歌っているメンバーがソプラノ歌ったり」(もえか)。

 「曲に合った雰囲気で、組み合わせを選んでいただいて」(さきこ)。

 「そのなかで、特にほのかは、ここぞというところでぐっと引き締めてくれるんです」(もえか)。

 「“星ノ栞”の大サビの前の〈夜空にくちづけを 願い届けて……〉っていうところは、歌い方にけっこう困っちゃったんですけど、もえりんにも相談したりして、大人っぽく」(ほのか)。