Hana Hopeとは何者か?　TOWA TEIらが賛辞を送るZ世代シンガーのデビューを機にその歩みを辿る

black boboiや麦野優衣ら気鋭のアーティストが参加したファーストシングル

冒頭で述べたように、そんな彼女が今年2月25日、満を持してのデビューシングル『Sentiment / Your Song』をHana Hope名義でリリースした。

“Sentiment”は、millennium paradeのermhoiや、D.A.N.のサポートなどでも知られるコンポーザーの小林うてな、ODEOのメンバーでceroの荒内佑のソロ作にも貢献していたジュリア・ショートリードによって結成された3人組ユニット、Black Boboiが曲を提供。彼女たちらしい幻想的なトラックと、物憂げなHanaのボーカルが見事な調和を生み出している。

『Sentiment / Your Song』収録曲“Sentiment”

一方“Your Song”はシンガーソングライターの麦野優衣が作詞を、アイゴンこと會田茂一が作曲を手がけ、気鋭の宅録アーティスト浦上想起がアレンジを担当した。こちらはマジカルなコード進行やサイケデリックな展開がどこかビートリッシュな雰囲気をたたえ、Hanaの新しい一面を引き出した。

『Sentiment / Your Song』収録曲“Your Song”

「Black Boboiのみなさんは、レコーディングにも立ち会ってくださいました。曲に対するイメージを訊いてくださって、私が〈夏の夜っぽい〉と感想を言ったら、それをもとに歌詞を書いてくださって。それが本当に嬉しかったです。“Your Song”は、最初に聴いたときは〈ヘンテコリンな曲だなあ〉と思いました（笑）。すごくユニークなトラックで、コード進行とメロディーの関係も不思議なので、それが私の声とうまくマッチするのか少し心配でしたが、歌っていくうちにどんどん好きになっていきました」。

なお、上掲の“Sentiment”のミュージックビデオを手がけたのは、LA、ジャカルタ、そして東京を拠点に活動する写真家でフィルムメーカーのAdi Putra。白と黒を基調としたコントラストの強い映像は、Hanaの純粋無垢な存在感と、その奥に潜む無限の可能性を象徴しているかのようだ。

Photo by 池村清可

人の感情を引き出すような歌を歌いたい

ところで彼女は現在16歳になったばかり。いわゆる〈Z世代〉だが、尊敬するアーティストは誰かを尋ねると同世代のビリー・アイリッシュを筆頭に挙げる。

「ドキュメンタリー映画『ビリー・アイリッシュ：世界は少しぼやけている』を観たのですが、他人に左右されず、自分自身の考えをはっきりと表明しているところがすごくかっこいいなと思いました。MVでも、自分がやりたいと思ったことを自由に表現しているところなどに憧れます」。

また、スウェーデンの環境活動家グレタ・トゥーンベリの名も、「私たちの世代のオピニオンリーダー」として挙げる。Hanaの周囲には、グレタを通して社会問題に興味を持つようになった人も多いという。

「私たちの世代は、他の世代と比べるとセンシティブでありつつ、自分の意見を強く持っていてそれを臆さず言える人が多い印象です。同級生たちも、主にソーシャルメディアから情報を得て、それをシェアしながら話し合ったりしています。大切な問題だなと思ったことを、ソーシャルメディアを介して色々な人に拡散できるのはすごくいいことだなと思います。私自身は環境問題に特に関心を持っています。そんなに積極的には発信していないけど（笑）、自分が生きている世界を守りたいという気持ちは当然ありますね」。

いつか自分でもオリジナルソングを作ってみたいとも話してくれたHana Hope。これからどんなシンガーになってみたいか尋ねると、こちらをまっすぐに見据えながらこう答えた。

「人の感情を引き出すような歌が歌えるアーティストになりたいです。そして、聴いて〈いいな〉と思ってくれた人どうしが一緒になれるような、人と人とが繋がれる曲をいつか書けるようになりたいですね」。

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