(左から)FOLDER、KOOL、SOON、Jason Z

近年、にわかに活気を見せている中国のポップカルチャー。動画配信サイト・bilibiliや音楽配信サービス・QQ音楽を中心に、日本のアニメや音楽がより中国のユーザーにも身近に楽しめるようになってきた。いわゆるACG(Anime, Comic, Game)と呼ばれるオタクカルチャーは今や中国ではもっともポピュラーなカルチャーのひとつに成長しており、その影響は「羅小黒戦記」など中国製アニメが日本に輸出され話題を集めるなどして、日本にも徐々に浸透してきている。

一方で、音楽シーンでいうと、ヒップホップグループ・Higher Brothersの世界的活躍が印象に残るが、ロックミュージックもまた、ネット配信サービス・iQIYI(愛奇芸)の番組「バンドの夏(乐队的夏天)」が絶大な人気を博し、番組に登場した若いロックバンドたちの動向にも注目が集まっている。

そして、このたびニューシングル“航海家物語(航海家物语)”をリリースする広州出身のロックバンド・HYPER SLASH(超級斬/超级斩)もまた、「バンドの夏」出身であり、ACGムーブメントにどっぷり浸かった、いわばロック × オタクのハイブリッドバンドだ。

日本のエクストリームなバンド、そしてアニメやゲームに多大な影響を受けた中国新世代オタクコアとはなんなのか。2022年4月30日(土)の21:00から昨年のツアーの北京最終公演がYouTubeでプレミア配信されることを目前に控えたタイミングで、SOON(ボーカル)、FOLDER(ギター)、KOOL(ベース)、Jazon Z(ドラムス)のメンバー4人に、影響を受けた日本のカルチャーから生まれた〈HYPER SLASHサウンド〉の魅力について話を訊いた。


 

Photo by Alan

日本のゲームとアニメが好きすぎる!

――現在中国では日本のアニメやゲーム、コミックスなどが人気という話題は日本でもよく聞きます。いわゆるACG(Anime, Comics, Game)というムーブメントが盛んだそうですが、現地に住むみなさんからして、中国でのACGは今どんな盛り上がりを見せていますか?

FOLDER「ちょっと昔はまだ日本のサブカルチャー、ACGの文化に関してはファンが少なかったんですけど、最近はこういう話題に対してもっとポピュラーな感じになってきましたね」

――それこそみなさんがお好きな作品はなんですか?

FOLDER「今だと、『進撃の巨人 The Final Season』がとにかく人気なんですが、そのオープニングテーマをSiMが担当していて、そういう意味でも盛り上がっていますね。あとはゲームですと、『ELDEN RING』が注目を集めていますね」

TV「進撃の巨人 The Final Season」のオープニング動画。楽曲はSiM“The Rumbling”

――本当に最近のものがしっかり流行っていると。SOONさんはいかがですか?

SOON「(おもむろにNintendo Switchのソフトを見せる)」

――おっ、「スーパーマリオ オデッセイ」。SOONさんはゲームがお好きなんですね。

SOON「ゲームだと『モンスターハンター』とか、7月に新作が出る『ゼノブレイド』。あとはアニメだと『ジョジョの奇妙な冒険』がずっと人気で、私も最近写真を撮るときは、最新シリーズの主人公の空条徐倫のポーズをしたりしています(笑)」

KOOL「僕も任天堂のゲームが大好きで、最近新作が出た『星のカービィ』が好きですね」

SOON「あとは『ポケモン』! 『アサシン クリード』や『逆転裁判』、『ファイアーエムブレム』……やっぱり『ゼルダの伝説』! (日本語で)『ゼルダ』は大好きです!」

――ひと昔前だと、日本のブームと海外のブームってタイムラグがあったんですが、今は日本で流行っているものがそのまま海外に輸出されているんですね。

SOON「みんなゲームやアニメの発表する配信とかをリアルタイムでチェックして、そのまますぐに予約していますね」