シンフォニック系メロディック・スピード・メタルにJ-Popスタイルの美しいヴォーカル・メロディーを乗せた音楽が魅力のTEARS OF TRAGEDYが4年ぶりとなる4thアルバム『TRINITY』を完成させた。前作の『STATICE』(2016年)よりサウンド面で進化を遂げ、メタリックなナンバーが増えるとともにメロディーの部分でも充実を図ったこの作品はまさにバンドの成長を示した作品に仕上がったという印象だが、リズム隊が脱退し、HARUKA(ヴォーカル)、 TORU(ギター)、HAYATO(キーボード)の3人編成となったバンドにこの新作について訊いてみた。
メンバーの脱退を経た原点回帰と新たな挑戦
――4thアルバム『TRINITY』がようやく完成しましたが、前作の『STATICE』から4年が経ちましたね。その間、曲作りはずっと行っていたのですか?
TORU「2017年に作曲していた時期があったんですけど、2018〜19年はそんなに作らなかったかな……。今回のアルバムは2017年の後半ぐらいに書き溜めたものから発展させた曲が多いんですよ。最近になって、自分が曲作りの面でレベル・アップしている感じる部分もあったので、2017年の曲のままでなく、アップデートして作っていきました」
――『TRINITY』は前作と比べると、シンフォニックな要素が強くなったという印象ですが、どういったアルバムにしたいと考えていましたか?
TORU「3rdアルバムを作った後、次のアルバムは3rdを踏まえて、サウンドをどう進化させるかと思った時、エピカの『進撃の巨人』のカヴァー・ミニ・アルバム『EPICA VS attack on titan songs』(2017年)にめちゃめちゃハマったんです。HAYA(HAYATO)ちゃんにも〈ちょっと、これ聴いてよ〉って勧めたぐらい、そのアルバムに久しぶりにテンションが上がったんですよ。
それと同時に、HAYAちゃんから〈3rdが柔らかい感じの曲が多かったので、久しぶりに攻撃力のある曲を書いてもいいんじゃない〉と言われたんです。それで、書いたのが、“時に鏡は嘘をつく”だったんですけど、その曲に合わせて、他の曲もメタリックに寄っていったというのもありました」
――曲の作り方としては、TORUさんとHAYATOさんそれぞれがある程度の形を作って、あとは2人でアレンジなどを話し合うみたいな感じですか?
TORU「そうです。シンセの音色決め、アレンジに関してはかなり2人で時間をかけて詰めていきますね」
HAYATO「電話で4時間とか話しますよ。長いんです。そのうち関係ない話が3時間ぐらいですから(笑)」
――サウンドに関して、進化が感じられますが、色々研究されているのですか?
HAYATO「そうですね。今まではピアノとかヴァイオリンとか古典的な楽器の音色でいきたいというこだわりがあったんですけど、今回はデジタルなサウンドに挑戦してみたいという思いがありました」
――レコーディングではTORUさんが参加しているTHOUSAND EYESのドラマーのYU-TOさん、ベースはTORUさんがプレイしていますが、リズム隊はいつ脱退したのですか?
TORU「去年ぐらいですね。ドラマーは家庭を優先したいということになって、ベースは元々メタルの人ではなかったので、自分の音楽を追求するために脱退しました」
――タイトルの『TRINITY』は3人組とか三位一体という意味がありますが、これはどういう意味を込めてつけたのですか?
TORU「HARUKAから3人にちなんだものにしたいという相談をもらって、何かないかなと思って単語を調べていたら、ピッタリの単語があったので、これにしました」
HARUKA「1stアルバム『ELUSIVE MOMENT』(2011年)が3人だったので、心機一転、初心に帰るみたいな感じも込められています」
これぞTEARS OF TRAGEDY!な“Nonsite”
――では、収録曲について伺いますが、まず、オープニングSEのタイトル曲“Trinity”に続く“Nonsite”から紹介してください。
TORU「この曲はサビを凄く悩んだんですけど、サビに上手く繋げられた時、自分の中でガッツポーズをしましたね。これがアルバムの最初の曲になるかなと思いました」
――劇的なイントロの後、HARUKAさんの声が聴こえた瞬間、これぞTEARS OF TRAGEDY!という安心感があります。歌詞に関してはどういったことを歌っているのですか?
HARUKA「1曲目にどんな曲が来ようとも、第一声はお待たせしましたみたいなことを言いたいと前から決まっていたんです※。それ以外はフィーリングで書きました」
――キーボードに関してはいかがですか?
HAYATO「この曲のアレンジは比較的早めに終わりましたね。いつも通り、サビの後ろでストリングスが入っていたりしますが、イントロでは普段使わなかったデジタル・シンセ系の音が入っていて、控えめな味付けになっています。この曲に関しては塩分控えめです(笑)」