ロンドンを拠点に、英国音楽、日英の音楽文化への献身をライフワークとしてきたヴァイオリンの小町碧による、2022年、RVW生誕150年への美しい捧げ物。田園風景を楽しむように親しげで懐かしさを覚える音楽が全編に溢れ、ひとおりひとおり紡ぐような愛情こもる筆致が快い。美しい“揚げひばり”はもともとの形だったピアノとの版で収録、作品の生身の姿に触れることができる。晩年の力作ながら必ずしも演奏機会に恵まれてこなかったソナタを中心に置いたことも特筆したい。小町自身による解説と共に、特別に撮られたRVWが幼少期に過ごした家の写真で装幀されており、すみずみまでRVWへの敬愛が表現された。