2022年はイギリスの国民的作曲家レイフ・ヴォーン・ウィリアムズ(1872~1958、以下RVWと略記)の生誕150年にあたり、ロンドン在住のヴァイオリニスト、小町碧が数ある英文献からサイモン・ヘファーの著作を選び、英文学者の高橋宜也と共訳したのが本書である。裕福な家庭に育ったRVWが少年時代から音楽に傾倒し、はじめは民謡に英国らしさを見いだし、その後、2つの大戦の影響から民謡調からも脱し、力強く独自の音楽語法を追求し続けるさまが描かれている。先輩エルガーとの作風の違い、盟友ホルストとの友情、そしてRVWの折々の作品群が、専門用語をほとんど使わず、判りやすく解説されているのも素晴らしい。
サイモン・ヘファー「レイフ・ヴォーン・ウィリアムズ:〈イギリスの声〉をもとめて」エルガーとの違い、ホルストとの友情……イギリスの国民的作曲家が音楽を追求するさまを描く
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