現代のトップ・ヴァイオリニストの一人、ムターと伴奏者オーキスのコラボレーション25周年記念盤。様々な演奏様式が並立する今日、ムターはポルタメント奏法やヴィブラート、ルバートを駆使して最も表情的な演奏を聴かせるが、まさにそのショーケースのようなCDだ。とくにクライスラーとラヴェルの小品が濃厚甘美な仕上がりで、ファンにとってもアンチにとっても「たまらない」演奏。ペンデレツキと、ムターの元夫プレヴィンがムターに捧げた2曲が世界初録音で入っているが、後者が断然楽しい。甘美なメロディと起伏に富んだ曲想をもっていて、ムターの多彩な表現力が思う存分発揮されている。
ANNE-SOPHIE MUTTER、LAMBERT ORKIS 『シルヴァー・アルバム~ムター&オーキス25年の軌跡』
DG/ユニバーサル