カルロス・クライバーの名演を超えた。個性的で快活な“田園”。好評のマンフレッド・ホーネックと手兵ピッツバーグ交響楽団のベートーヴェンシリーズはいずれも名演だった。“田園”でも好調を維持。第1楽章と第3楽章では、ピッコロや低弦、ホルンの強調により作品から作曲当時のトルコ音楽の影響を随所に聴かせる。第2楽章は流麗さが際立つ。第5楽章は悦びに溢れた音楽を精緻に描いている。全体に弾力あるバスを基礎に強弱の表現にこだわった演奏に仕上がった。カップリングのスタッキー作品は自然破壊と美しさを思い起こさせる作品。“死の川”の打楽器が活躍する恐怖の音楽が印象に残った。