2002年生まれのスペインのヴァイオリニストによるDG専属デビュー盤。日本音楽財団がストラディヴァリウス1710年製〈カンポセリーチェ〉を貸与するなどニュースが続く。2023年のウィーン・ライヴは骨太で凛とした美音と物凄い集中力で、自作のカデンツァを交えながらベートーヴェンの“ヴァイオリン協奏曲”を聴かせる。第1楽章は27分を超えるが、耳をとらえて離さない。ホーネック指揮ウィーン響のメリハリの効いた演奏も讃えたい。カップリングのシュポア、サン=サーンス、ヴィエニャフスキ、クライスラーの小品も含めて、技巧ではなく熱のこもった歌を大切にしていると思う。
マリア・ドゥエニャス(María Dueñas)『ベートーヴェン:ヴァイオリン協奏曲 他』メリハリ効いた演奏が光る、若きバイオリニストのグラモフォンデビュー作
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