マンフレート・ホーネックが手兵のピッツバーグ響と、現在にあってこの第5番を演奏することの意義に挑むかのような力作を提出。冒頭から彼ならではの多彩なデュナーミクと力強いアタックを駆使して激しく鳴らしつつも、どこか醒めた視座を内蔵させ細部にわたり入念にコントロールしていく。第3楽章ラルゴでの破裂と静謐が隣り合せにあるような空気感の創出も強烈。終楽章での強力な高揚はズシリと底から立ち上がる。RRならではの優秀録音でそのディテールを感得できるのも書き落とせない。併録の『弦楽のためのアダージョ』がまた、沈潜する内的な情感で静かに燃え立つ。おのずとこの2曲が地続きにある考え方を聴き手に告げている。