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拡大していくスケール

 その成功を引き継いだ2009年のセカンド・アルバム『Waking Up』からはテダーに加えてメンバーのクツレや、テダーの外部パートナーとなるノエル・ザンカネラもプロダクション面へ積極的に参加。端正なメロディーを備えたポップなリード・シングル“All The Right Moves”やチェロの響きを効かせた大らかな“Secrets”が連続ヒット。さらに印象的な口笛とアコギをあしらった雄大な“Good Life”は全米8位の成功を収め、旧来的なバンド感よりも大らかにポップネスを追求するメインストリーム志向の強いスタンスは、早くもマルーン5のような先達と比較されるようになっていた。

 ただ、順調すぎる成功ゆえのプレッシャーや産みの苦しみも大きくなったのか、以降のリリース予定は遅れ気味になり、ベニー・ブランコやジェフ・バスカーら多数の外部プロデューサーを動員したサード・アルバム『Native』は2013年3月のリリースとなる。サウンド的には前2作のアリーナ・ポップ感覚を継承しつつ、EDMブームの影響を投影した壮大な展開や機能美の追求は楽曲のスケールをダイナミックに拡大し、その進化ぶりが時流にマッチしてアルバムも全米4位を獲得。アレッソのリミックスでヒットした“If I Lose Myself”やテダーが息子のために書いた真摯な“I Lived”など好曲が揃うなか、テダーとザンカネラによる疾走感のあるダンス・ポップ“Counting Stars”は全米2位/全英1位に輝くキャリア最大のヒットとなった。なお、この『Native』では2012年に新加入したブライアン・ウィレットが3曲のキーボード演奏に参加している。

 “Counting Stars”が予想以上にヒットした勢いに乗って、2016年にはクツレが多くの共同プロデュースを務めた4作目『Oh My My』がリリース。ドライヴィンなシンセ・ポップ“Wherever I Go”も80年代テイストの解放感がある“Kids”もダンサブルな魅力に寄せたシングルで、ピーター・ガブリエルやカシアス、サンティゴールドも客演したアルバムは全米3位を記録した。なお、同作リリース後の彼らは初の単独来日公演を成功させてもいる。