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〈ごめんね〉が代名詞

 メイン・ソングライター、かやゆーの曲は、恋愛を題材にしたものが多い。とは言っても、〈好き〉という想いをシンプルに歌ったようなラヴソングとは趣が異なる。全面に出ている若き焦燥が、矛盾した感情や不安な気持ちと共に瑞々しく響いているのが特徴だ。

 「曲作りについては、戦略的なことは考えてなくて。たまたま恋愛ソングが出来てきたんです。どの曲も8割が実体験、2割が妄想というバランスですね。back number、クリープハイプ、マカロニえんぴつ、リュックと添い寝ごはん、KALMAとか、僕が聴いてきた音楽の影響も大きいと思います。どちらかと言うと、幸せなラヴソングよりも失恋を歌っていたり不安が漂っていたりする曲が好き。“本当はね、”は女性目線の歌詞でわりとハッピーな内容なんですけど、MVにはあえて狂気じみたシーンを入れちゃいました」(かやゆー)。

 〈お金はないけどバイトはしたくないんだ〉と歌う“ヒモと愛”、〈騙されたあなたが悪いんだよ〉と歌う“ゴミ人間、俺”など、自分の弱ささえ曝け出す言葉のインパクトも絶大。アルバム・タイトルの一節を含む“ごめんね、歌にして”をはじめ、〈ごめんね〉という表現も多く見られる。

 「“ごめんね、歌にして”が1年くらい前に出来たとき、ここの歌詞をアルバムのタイトルにしたいと直感で思ったんです。なんの狙いもなかったけど、結果的にどの曲にも当てはまるフレーズになっている気がしますね。〈ごめんね〉は無意識でめっちゃ使ってました。そういう俺っぽさをふまえて、ゴンちゃん(ゴンザレス)はバンド初の共作曲“夜のままで”で〈ごめんね〉と連呼するサビを作ってきたんだよね?」(かやゆー)。

 「僕らのなかで〈ごめんね〉は、かやゆーの代名詞ですから(笑)」(ゴンザレス)。

 「かやゆーの歌詞は情景がパッと浮かびますよね。聴いていて引っかかる言葉が一曲にひとつは必ずあるんですよ」(しおん、ドラムス)。

 「“ごめんね、歌にして”の〈単身者専用古びたアパートに〉という言葉の使い方とか、すごく好きですね。」(りょうと、ベース)。