左から、バラケ・シソコ、エミール・パリジャン、ヴァンサン・セガール、ヴァンサン・ペイラーニ
© Claude Gassian

4名の才人による透明感たっぷりの洗練された室内楽集

 チリー・ゴンザレス『Solo Piano』(2004)やルーカス・サンタナの作品で知られるフランスのレーベル〈No Format!〉。そこでデュオ作やソロを発表してきたマリ出身のコラ奏者、バラケ・シソコとフランス出身のチェロ奏者、ヴァンサン・セガール、そしてドイツのジャズ・レーベル〈ACT〉から同じくデュオおよびソロ作をリリースしているアコーディオン奏者のヴァンサン・ペイラーニ、サックス奏者のエミール・パリジャンの4人が一堂に会し、アルバム『Les Égarés』を完成させた。本作は、ジャズ、トラディショナル・ミュージック、コンテンポラリーといった要素が極めて自然なかたちで融合された上質な室内楽集。往年の〈ECM〉諸作のような透明感と洗練が感じられる作品だ。

BALLAKÉ SISSOKO, EMILE PARISIEN, VINCENT PEIRANI, VINCENT SEGAL 『Les Égarés』 ACT Music/キングインターナショナル(2023)

 冒頭を飾るバラケ・シソコの“Ta Nyé”はコラとアコーディオンによる跳ねるリズムとなめらかなソプラノ・サックスが印象的な曲。続く“Izao”はペイラーニ作。こちらは幻想的かつ抒情的なナンバーだ。ゆったりとしたリズムのなかでアコーディオン、コラ、サックスが徐々に熱を帯びる3曲目“Amenhotep”はヴァンサン・セガールの曲。4曲目“Orient Express”はジョー・ザヴィヌルのアルバム『My People』に収録のアフロ・ビート・チューンのカバーだが、この4人の手にかかると原曲のファンキーな躍動感よりもスリリングな側面が際立ってくるから面白い。このほか、それぞれの手になる楽曲、マルク・ペロンヌ作のミュゼット“Esperanza”など個性的な曲が並ぶが、オリジナル曲の質の高さから各人のコンポーザーとしての才能に改めて感服してしまった。先々まで何度も聴きたくなるであろうアルバムである。

 なお、バラケ・シソコとヴァンサン・セガールは〈KYOTOGRAPHIE 京都国際写真展〉から派生した音楽イヴェント〈KYOTOPHONIE〉において5月12日(金)、13日(土)に京都・渉成園でコンサートが予定されている。ご興味ある方はそちらもぜひ。

 


LIVE INFORMATION
KYOTOPHONIE SPRING EDITION
2023年4月15日(土)~2023年5月14日(日)の各週末及びゴールデンウィーク
会場:京都市内各所
出演:サリフ・ケイタ/ルーカス・サンタナ/中野公揮/吉田簑紫郎/EUTRO/TRIO SR9/ラ・チカ/サンドラ・ンカケ/ヴァンサン・セガール/バラケ・シソコ/ピエル・ファッチーニ/他
https://kyotophonie.jp/