アーティスト・タレント・モデル・役者・声優として幅広く活躍する〈あの/ano〉。anoの初のパッケージ作品は『ちゅ、多様性。』の完全生産限定盤となる12インチシングルレコードだ。そのリリースを記念して、タワーレコードではフリーマガジン「TOWER PLUS+ ano 特別号」を発行! ここでは中面に掲載されているレビューを掲載いたします。「TOWER PLUS+」はタワーレコード全店にて配布中です! *TOWER PLUS+編集部

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ano 『ちゅ、多様性。』 トイズファクトリー(2023)

 

2022年11月にリリースされたanoの3rdシングル『ちゅ、多様性。』。配信から1ヶ月でストリーミング、MVともに1000万再生突破(MVは現在2900万再生超え!)。TikTokでも1億再生を超えるなど大ヒットを記録したこの曲が、12インチアナログ盤として発売される。音楽性、パフォーマンス、ビジュアルを含めて、現在の日本のポップカルチャーを象徴する楽曲となった“ちゅ、多様性。”。その魅力を改めて紐解いてみたい。

〈あの〉によるソロプロジェクト〈ano〉は、2020年9月に音楽活動をスタートさせ、2022年4月に配信シングル『AIDA』でメジャーデビュー。その活動フィールドは驚くほどに広く、彼女自身がボーカルをつとめるバンドI’s、さらにタレント、俳優、モデルとしての才能を発揮している。〈好きなことをやってるだけ〉というイメージも相まってZ世代を代表するアーティストと称されることも多い彼女。様々なカルチャーを自由に吸収し、独創的な表現に結び付けるセンスは年齢やジャンルを超え、幅広い層に支持されはじめている。

“ちゅ、多様性。”はご存じの通り、TVアニメ「チェンソーマン」のエンディング・テーマとして制作された。「チェンソーマン」がどんな作品か?をここで紹介するスペースはないが、2020年代を代表する世界的なコンテンツであることは言うまでもない。

TVアニメ「チェンソーマン」のエンディング・テーマは毎回変わっていたのだが、マキシマム ザ ホルモン、Vaundy、ずっと真夜中でいいのに。、TK from 凛として時雨、Aimer、女王蜂、Eveといった現在のシーンを代表するアーティストと並びanoの名前がラインナップされたことは大きなニュースとなった。ただ、今振り返ってみると、既存のヒーロー像を根底から覆し、現代社会を反映した「チェンソーマン」にanoが参加したことは必然だったと言えるだろう。

“ちゅ、多様性。”を語るうえで欠かせないのは、作詞(あのと共作)、作曲を手がけた真部脩一の存在だ。00年代のシーンに多大なインパクトを与えたバンド〈相対性理論〉のメンバーであり、その後、Vampilliaのコアメンバー、自身のポップユニット集団行動でも活動している真部は、高度な音楽理論に裏打ちされたポップス・メイカーとして知られている。トリッキーかつキャッチ―な旋律、緻密なコードワークと爆発的なインパクトがぶつかり合うアレンジ、一度聞けば耳から離れないリリックの言葉遣い。アディクト必至の彼のポップセンスは、“ちゅ、多様性。”にもビビッドに反映されている。アレンジはTAKU INOUE。ゲーム音楽からJ-POPまで幅広く活躍し、anoのプロジェクトにも初期から関わっているクリエイターだ。

鋭利なギターカッティング、パーカッシブなドラム、骨太のグルーヴをたたえたベースラインを軸にしたサウンド、そして、心地よい韻を踏みながら、サビに入った瞬間に一気に解き放たれるメロディラインが一つになった“ちゅ、多様性。”。独特のエキゾチズムとダンスミュージックとしての機能を併せ持ったこの曲の魅力の中心を担っているのはもちろん、anoのボーカルだ。どこか幼児的な雰囲気を残しつつも、ピッチとリズムはきわめて精緻。アンニュイさと意志の強さを同時に感じさせながら、聴く者に圧倒的な快楽を与える歌声からは、シンガーとしての彼女のポテンシャルがはっきりと伝わってくる。

日本語、英語、中国語の響きをバランス良く組み合わせながら、アニメの世界観を増幅させるような歌詞も強烈だ。“ちゅ、多様性。”がエンディング・テーマとなったTVアニメ「チェンソーマン」7話(「キスの味」)には、デビルハンターたちの飲み会の席で、主人公のデンジが先輩の姫野にキスされ、その直後に口のなかに吐かれてしまうというエピソードがある。サビの〈Get on chu!〉を〈ゲロチュー〉と発音しているのはこのシーンと重なっているのだが、一瞬オエッとなりつつ、もう1回聴きたい!と何度でもリピートしたくなる強い依存性があるのだ。アニメのストーリーとつながっているとは言え、キスとゲロをテーマにしたポップソング自体が(既存の常識的には)ありえないし、それを見事に成立させるanoの才能はやはり特別だと思う。

デンジと姫野のキス(ゲロ)シーンをモチーフにしたアートワークも魅力的なアナログ盤『ちゅ、多様性。』。日本のポップソング、アニメソングの多様性を象徴するこの曲をぜひ、じっくりと楽しんでほしいと思う。

 


INFORMATION
TOWER PLUS+ ano 特別号
エクスクルーシブカットが表紙のフリーマガジン「TOWER PLUS+」(B5変形)をタワーレコードの店舗で無料配布。中面にはレビューを掲載。
サイズ:B5変型
ページ数:4P
配布期間:2023年5月17日(水)開店から
配布店舗:タワーレコードおよびTOWERmini全店(一部休業中店舗、TOWER RECORDS CAFE、タワーレコード オンラインを除く)
※「TOWER PLUS+」はより多くの方に手に取っていただきたいため、お1人様各1部までのお持ち帰りとさせていただきます。無くなり次第配布終了となり、増刷の予定はございません。また、お取り置きはできません。ご了承ください
※天候や交通事情により配布が遅れる場合がございます

〈ano × TOWER RECORDS〉B2コラボポスター
「TOWER PLUS+」と同じエクスクルーシブカットによる〈ano × TOWER RECORDS〉B2コラボポスターがタワーレコード全店で掲出される。
掲出期間:2023年5月16日(火)~2023年5月29日(月)
掲出店舗:タワーレコードおよびTOWERmini全店(一部休業中店舗、TOWER RECORDS CAFE、タワーレコード オンラインを除く)

https://tower.jp/article/news/2023/05/11/n301

 


RELEASE INFORMATION

ano 『ちゅ、多様性。』 トイズファクトリー(2023)

リリース日:2023年5月17日(水)
品番:TFJC-38118
フォーマット:12インチレコード/45RPM
価格:2,200円(税込)

TRACKLIST
A面:ちゅ、多様性。
B面:ちゅ、多様性。[instrumental]

 


PROFILE: ano
若い世代の女性を中心に人気を誇る〈あの〉。2020年9月より〈ano〉名義でのソロ音楽活動を開始。2022年4月、トイズファクトリーよりメジャーデビュー。同年10月、TVアニメ「チェンソーマン」のエンディングテーマに“ちゅ、多様性。”が抜擢される。自身を中心に組んだバンド〈I’s〉も活動中。音楽活動だけに留まらずタレント、女優、モデルとマルチに活動。