師匠ヤング・ドルフの悲劇を経験した後も精力的に動き、ペーパー・ルート・エンパイアの若き盟主としての奮闘してきたキー・グロック。公式アルバムとしては『Yellow Tape 2』(2021年)以来となるニュー・アルバムも、馴染みのバンドプレイらの超シンプルなビートに悠々と絡んでいく客演ナシの素っ気ない作りに変わりはないが、冒頭のドラマティックな“Dirt”から沼に引き込む歌い口は風格をいよいよ増している。そうでなくても帝国入りして最初の楽曲集だった人気ミックステープ『Glockoma』(2018年)の続編をわざわざ謳っていることを思えばこのタイミングにかける気合の大きさは窺い知れるはずだ。