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俺一人になっても作るよ

――では、発売日が見えたタイミングは?

「レコード会社の方ならわかってくれると思うのですが、4〜9月の上半期の内に出さなければいけなかったんです(笑)。上半期の予算にRCの20周年アルバムが組み込まれていて、出るか出ないかで大きな影響があったので、〈とにかく9月中に出してください〉とお願いして。それで、9月の最終週の水曜が27日だったんです(笑)。シングル(“I LIKE YOU”)のリリースは4週前の水曜日(5日)。間に合うようにギリギリまでレコーディングして、急工程でした。

当時、納期はリリースの3か月前で、少なくとも60日前までに完成させないと間に合わなかったのですが、『Baby a Go Go』のレコーディングは7月もまだやっていたと思います」

『Baby a Go Go Deluxe Edition』収録曲“I LIKE YOU”

――ハンドリングは誰がしていたんですか?

「本来は担当ディレクターですが、そんなことを言っていられる状況じゃなかった。当時、1,000~2,000万円がスタンダードだった制作費も4,000~5,000万円くらいかかっていて、とにかく進めないといけない状況だったと思います」

――タフな状況ですね……。

「本来、プロデューサーは、〈いつまでにアップしないといけない〉というのを計算に入れて制作するんです。だけど、ずっと続いていたレコーディングの中でメンバーが2人抜けて、エンジニアが思ったような感じではなくて……。

一度、こういう話があったんです。〈いつ終わるか、出来上がるかもわからないので中断しよう、やめよう〉と。関わっている人たちも疲労もしていたので。でも、清志郎さんだけは〈やめるわけにはいかない。みんながやめて俺一人になっても、ヘンリーたちと作るよ。近藤や高橋たちが20周年を盛り上げているのに、RCがアルバムを作らなかったら全部崩れちゃうから〉と言って、続行になったんです」

――へー!

「清志郎さんが楽器をいっぱい弾いているじゃないですか。〈全部、俺一人でも作るから〉となってから、楽器を色々とやるようになったんです。“空がまた暗くなる”でオルガンを弾いたり、ウォーターホーンを持ってきてその音を入れたり。

『Baby a Go Go Deluxe Edition』収録曲“空がまた暗くなる”

だから、すごい決意をもって腹を括ったというか。清志郎さんはRCの顔というトップスターでもあり、パーソナルオフィスの代表者でもあったわけです。アルバムを出さないことによるビジネス面のダメージは、わかっていらしたと思います。

いつも人のことをよく考えてくれていた方なので、レコード会社の状況も実はすごく考えてくれていたんだと思います。〈これを出さなかったら近藤も高橋も困るだろう〉と。困るなんてもんじゃないんですけどね(笑)。そういう責任感もあったと思います」

 

〈ボーイズ・イン・ザ・バンド〉なジャケット撮影

――なるほど。

「芸術性やアーティスト性、もしくは社会に対するレジスタンスが前面に出る方ですが、超一級のロックンロールビジネスマンでもあると思いますね。

RCが5人だった頃、新作のジャケットを『RHAPSODY』のパロディにしようと僕が提案した時も、喜んでくれたのは清志郎さんで、3人になった後もそれを覚えてくれていて、〈そのスタイルでやろうよ〉と言ってくれたんです(笑)。でも、3人だとあの並びにならないのでマネキンを入れてみたのですが、あまりいい並びにならなかった。その写真は、インナーに使われています。

ジャケットはおおくぼ(ひさこ/写真家)さんのアイデアで、チャボさんとリンコさんをちょっと後ろに寄せて3人で真ん中に集まるポーズを考えてくれたんです。それで、あのジャケットが出来上がったんですね。

3人ではしゃいでいる同じポーズも撮りました。そのフォトセッションの時は楽しかったですね。3人とも昔のRCに戻った感じで、すごくいい笑顔で、はしゃぎながら撮っていました。苦しかった1年だったので、楽しかった思い出ですね」

――その段階でアルバムは出来ていました?

「出来ています。でも、あまりいい関係性ではなくなっていた時期だったので」

――チャボさんも、そのフォトセッションの話はインタビューで何回かされていますね。

「『RHAPSODY NAKED』のインナーに、楽屋かどこかで曲順を決めている写真があるんです。『ライブ帝国』というTVKテレビの番組のDVDに横浜文化体育館の楽屋の風景が映っていて、それもそういう雰囲気なんですよ。まさに〈ボーイズ・イン・ザ・バンド〉です。5人の少年たちがバンドをやっていることは変わらないんだけど、いつしか有名になり、でも楽屋ではセレブリティやビジネスマンの集まりとは関係なく〈ボーイズ・イン・ザ・バンド〉なんですよね。

そんな雰囲気が満ち溢れていて、それがなんともかわいくて。強烈なアジテーションを歌ってもいるロックンロールバンドなのに、かわいい――それがRCの魅力で、その雰囲気がフォトセッションの時にはあって、すごく楽しかったですね」