2019年以来となる、鈴木茂、小原礼、林立夫、松任谷正隆によるSKYEと佐野史郎のコラボレーション第2弾。前作は大瀧詠一や加藤和彦への思慕が滲んだロックンロール作品だったが、今回はメロウで温かみのあるソウル・アルバムといった趣向。佐野が手掛ける詞曲ははっぴいえんどの影響が色濃く、60~70sへの郷愁をモチーフにしつつ、そこから現代を透かして見ることで立ち現れる無常観が妙味だ。実直な歌唱には独特の風情があり、それをバックアップする演奏は、あくまでも簡素でいて円熟味を極めた、まさに名人のなせる技。豊かでタイムレスな音楽体験が約束された一作だ。