魔暦24年(2022年)、待望の新大教典(ニューアルバムのようなもの)『BLOODIEST』を発布(リリースのようなもの)して人間界を震撼させた聖飢魔II。期間限定で再集結を再延長していたが、同年から魔暦25年(2023年)にかけて大黒ミサツアーも行い、6度目の解散を果たした。そのツアーの中から12月5日、大阪オリックス劇場での公演を収めたのがこの実況録音盤大教典(ライブアルバムのようなもの)『聖飢魔II 期間再延長再集結「35++執念の大黒ミサツアー -大阪-」』である。本作についてジャズピアニストでメタラー、聖飢魔IIの信者(ファンのようなもの)である西山瞳が綴った。 *Mikiki編集部

聖飢魔II 『聖飢魔II 期間再延長再集結「35++執念の大黒ミサツアー -大阪-」』 ARIOLA JAPAN(2023)

 

〈ゼウスの妨害〉(コロナ禍)を経て完全な形で開催された大黒ミサツアーが大教典化

約5年おきに開催されていた聖飢魔IIの期間限定再集結ツアー、魔暦22年(2020年)は、コロナ禍のため完全な形では開催できず、ヴィデオとトークでのツアーとなりました。

魔暦24年(2022年)、やっと完全な形として開催された期間再延長再集結〈35++執念の大黒ミサツアー〉は、当然のことながら各所ソールドアウト。その公演の模様を収録した『聖飢魔II 期間再延長再集結「35++執念の大黒ミサツアー -大阪-」』が、7月5日に発布されました。

 

大黒ミサに応える暖かい拍手、喜びと幸せの空気

大阪のオリックス劇場での公演の録音ですが、ドラマチックで、過去作から最新大教典『BLOODIEST』収録曲まで、バラエティに富んだベスト盤的な大黒ミサ大教典になっています。

また、コロナ禍で信者が声を出せない時の大黒ミサ(ライブ)録音ということで、これは後々、特別な記録となることでしょう。飛沫防止型マスクメガホンを配布し、発声も一部可能にしている悪魔的配慮があるとはいえ、基本的に声を出せないので、拍手でステージの熱量に応える観客。

全体を通して、拍手が暖かく穏やかで愛があって、観客の空気がとても良いです。

聖飢魔IIの現場の感じを知っているからかな、なんだか大人の思いやりを感じる、上品でとても良いエネルギーを持った拍手。この特殊な状況にもかかわらず、聖飢魔IIの大黒ミサをやっと味わえた喜びの空気がパッケージされており、聴いていて何よりもその空気が幸せでした。

 

宇宙的なボス感のある殺気

定番の“聖飢魔II ミサ曲第II番「創世紀」”、“FIRE AFTER FIRE”で幕開け。

“鬼”がまた聴けるのは、とても嬉しい。『恐怖のレストラン』(魔暦紀元前7年、1992年)は当時とても好きだった大教典(アルバム)で、怪奇な世界に魅了されました。ヘヴィメタルにおけるミディアムテンポの良さというのがあって、それが存分に味わえる曲です。昔と変わらず殺気充分な演奏ですが、昔は実行部隊的な殺気だったのが、今の聖飢魔IIは宇宙的なボス感のある殺気とでも言いましょうか。

“RENDEZVOUS 60 MICRONS’”は『THE OUTER MISSION』(魔暦紀元前11年、1988年)収録、80年代フュージョン全盛期のムードを感じる曲ですが、時代感のある曲は古くなるのかなと思っていたけれど、今回の録音を聴いても全く古くなく、むしろこんなベースラインの曲は最近聴かないので、今の音響技術で聴くと重量感が気持ち良く新鮮に聞こえました。

“KIMIGAYOは千代に八千代の物語”も嬉しい。疾走感と重量感がとても気持ち良い名曲で、景色を変えたベースソロ、ギターソロの見せ場もあり、盛り沢山。バンドのキャリアの積み重ねと体力の高さを感じるパフォーマンスです。大黒ミサの現場で聴いた方が羨ましい。

 

「やりたい曲がいっぱいだ!」

デーモン閣下のMCも沢山収録されているのですが、「やりたい曲がいっぱいだ!」と仰られたのには、胸が熱くなりました。コロナ禍で、予定していた大黒ミサが延期や公演形態など常に変更を余儀なくされ、なんとか今できる最善の形を模索しながらここにたどり着いたことを思うと、「やりたい曲がいっぱいだ!」にはぐっとくるものがあります。

大黒ミサが延期になったおかげで昨年発布の大教典『BLOODIEST』からの曲もセットリストに入り、“GOBLIN’S SCALE”、“呪いのシャ・ナ・ナ・ナ”など新しめの曲が所々フレッシュに演奏されるのも、大教典の躍動感を高めます。

“蠟人形の館”の前のデーモン閣下のトークも、詳しくは書きませんが、聴きどころですよ(笑)。

 

音楽を共有する時間の愛おしさ

“EL DORADO”まで聴くと〈終わっちゃったなあ〉と思ってしまいますが、期間限定集結はいつもこうやって別れがあるから、出会いと別れ、その時出会う大切さ、音楽を共有する時間の愛おしさを噛み締めることができるのだと思います。

特に今回は、コロナ禍で特別な一時を記録した大教典、必聴です。

 


RELEASE INFORMATION

聖飢魔II 『聖飢魔II 期間再延長再集結「35++執念の大黒ミサツアー -大阪-」』 ARIOLA JAPAN(2023)

リリース日:2023年7月5日

■初回生産限定盤(2CD+2DVD & フォトブック付きスペシャル仕様)
品番:BVCL-1336~1339
価格:5,830円(税込)
※魔暦24年(2022年)12月5日に大阪オリックス劇場にて行われた大黒ミサの模様を収録した2DVD付

■通常盤(2CD)
品番:BVCL-1333~1334
価格:3,300円(税込)

TRACKLIST
1. 創世紀
2. FIRE AFTER FIRE
3. RATSBANE
4. GOBLIN’S SCALE
5. TEENAGE DREAM (KAMISORI SYUTO solo)
6. 白い奇蹟
7. 鬼
8. サロメは還って殺意をしるし(キーボードによるBGM)
9. 魔界舞曲
10. RENDEZVOUS 60 MICRONS’
11. 嵐の予感
12. KIMIGAYOは千代に八千代の物語
13. SAVE YOUR SOUL -美しきクリシェに背を向けて-
14. LOVE LETTER FROM A DEAD END
15. 呪いのシャ・ナ・ナ・ナ
16. STORMY NIGHT
17. 蠟人形の館
18. DEAD SYMPHONY

ENCORE
19. 永遠の詩 -A Song Of The Deceased-
20. EL DORADO

 


PROFILE: 聖飢魔II
悪魔の集団。悪魔教の布教のためにハードロックバンドの様式を用いて魔暦前14年(85年)9月、地球デビュー。〈実活動時代〉には25銘柄の小教典(シングル)、17銘柄の大教典(アルバム)、14銘柄の活動絵巻教典(ビデオ・DVD)を発布。黒ミサ(コンサートのような形式で行われる集会)では、そのエンターテインメント性を規格外に発揮、老若男女や民族を問わず信者(ファンのようなもの)を解散後の現在も増やし続けている。また、テレビやラジオ、活字、ウェブ媒体など、あらゆるマスメディアでレギュラー枠を獲得。音楽のみならずバラエティやサブカルチャーの世界でも幅広く世の中を席巻する。魔暦前13年(86年)発表のファミコンソフト「悪魔の逆襲」はロックバンドがキャラクターとなった世界初の作品。魔暦前11年(88年)から魔暦前4年(95年)まで計7回、北海道〈美唄フェスタ〉にて日本舞踊と純邦楽器との共演舞台をほぼ毎年行う。魔暦前10年(89年)、大教典『WORST』がオリコンランキング1位を獲得、「NHK紅白歌合戦」に出場。どちらもHM/HRバンドでは史上初。魔暦前8年(91年)、セビリヤ、ロンドン、ニューヨークにて黒ミサを行う。魔暦前6年(93年)、香港にて黒ミサを行う。「ロックオペラ・ハムレット」に出演。魔暦元年(99年)12月31日、デビュー時の公約通り地球における任務を終了し解散した。魔暦7年(2005年)、地球デビュー20周年を記念して期間限定で再集結し、15回の大黒ミサを敢行。魔暦12年(2010年)に地球デビュー25周年を記念し2度目の期間限定再集結。〈INTER CONTINENTAL BLACK MASS TOUR〉として米国、フランス、韓国、日本で計22本の黒ミサを行う(それに先駆けて前年、世界22か国で大教典を配信発布した)。魔暦13年(2011年)、東日本大震災復興支援のため〈Tribute to Japan〉と称する催しを主催、両国国技館にて2日間だけ限定再集結。魔暦17年(2015年)、地球デビュー30周年に8月から翌年1月にかけて夏フェスへの降臨と2種類の大黒ミサツアーを開催、日本武道館2日間の大黒ミサも敢行。魔暦22年(2020年)、地球デビュー35周年を記念して再集結するも新型コロナウイルス感染症の蔓延というゼウスの妨害が襲い、翌年も妨害を受け続けたために2年連続でホールとアリーナを含む全国大黒ミサツアーをビデオ黒ミサ&生トーク、アコースティックを中心にした変異生黒ミサツアーに変更し、足かけ3年間で全国57本を行う。魔暦24年(2022年)、35周年期間限定再延長・再集結としてついに真の全国大黒ミサツアー〈35++ 執念の大黒ミサツアー〉を敢行し、魔暦25年(2023年)、ツアーファイナルとなる代々木競技場第一体育館での公演をもって6度目の解散を果たした。