ジャズピアニストであり、アツいメタラーでもある西山瞳さんによるメタル連載〈西山瞳の鋼鉄のジャズ女〉。今回のテーマは、もちろん聖飢魔IIが魔暦24年(2022年)9月21日(水)に発布する『BLOODIEST』です! 本作は、魔暦元年(99年)に地球征服を完了し、解散して魔界に戻った聖飢魔IIの、なんと23年ぶりのオリジナル大教典。そんな超待望の 『BLOODIEST』について、西山さんが愛を込めて綴ります。 *Mikiki編集部

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明日、聖飢魔IIの大教典『BLOODIEST』が発布されます!

聖飢魔II 『BLOODIEST』 ARIOLA JAPAN(2022)

まさか、この令和の時代に、聖飢魔IIの新しい大教典(アルバム)が聴けるなんて、思ってもみませんでした。
解散後は、アニメ「テラフォーマーズ」の主題歌や映画「伽耶子vs貞子」のテーマソングなど、単発での曲の発表はありましたが、解散しているので当然のことながら大教典(アルバム)はしばらくなく、過去作を聴くのみ。23年ぶりのオリジナル大教典です。

なにせ歴史の長いバンドですし、私はこれまで『THE END OF THE CENTURY』と『地獄より愛を込めて』の2枚ばかり偏って聴いてしまっていました。
その2枚を聴いていたこと、聖飢魔IIの思い出は、この連載の初期に一度書きました。

それに加え、よく観た活動絵巻教典(映像作品)は、『オール悪魔総進撃! THE SATAN ALL STARS』ですね。

聖飢魔II 『オール悪魔総進撃! THE SATAN ALL STARS』 キューン(1995)

これ、演奏も良ければ演出も最高、ステージの充実度が素晴らしいし、ギター4人が並んでるのとかもう激アツで本当に大好きで、定期的に観ています。今、ミュージシャンとして観て、これはリスペクトしかありません。まあ、どの時期のどのライブでも最高なんですけど、全員集合はやっぱり楽しいですよ。

23年ぶりの今回の大教典は、ダミアン浜田陛下の楽曲もあり、エース清水長官の新曲もあり、ゾッド星島親分もコーラス参加という、悪魔勢揃い。まさか解散後23年も経って悪魔の揃い踏みとは、嬉しい限りです。

新しい大教典リリースにあたり、心の準備として、解散前最後の大教典『LIVING LEGEND』をこの1ヶ月ほどよく聴きました。

聖飢魔II 『LIVING LEGEND』 ARIOLA JAPAN(1999)

尖ったヘヴィメタル成分の高いアルバムだった記憶でしたが、最後の作品ということでなんとなく〈終わり〉を意識してしまうこともあり、あまり率先して聴いていなかったんですよね。
ですが、改めて聴いて、反省しましたよ。これ、今聴いた方がやばいです。最高。
リフがことごとく格好良く、聖飢魔II初期のNWOBHM的なスピードチューンに、グルーヴメタル、ラップメタルなども含めた90年代メタルを総括するような、素晴らしい作品。
あれだけテレビ番組に沢山出演し、お茶の間にも浸透したバンドで、最後の最後にガチのヘヴィメタル作品を出して“HEAVY METAL IS DEAD”とか“GO AHEAD!”とかメッセージの強い名曲を残して解散、魔界に帰るって、格好良いですね。

ところで、魔暦22年(2020年)の聖飢魔II地球デビュー35周年期間限定再集結〈ヴィデオ黒ミサ&生トークツアー『特別給付悪魔』〉には、私も参加しました。

※黒ミサ=コンサート

私が行ったのは松戸の森のホール21で、コロナ禍1年目でしたので収録した映像でのコンサートでしたが、音がとても良く、ライブと遜色ない状態。構成員全員でのトークも楽しくて、コロナ禍のハンデの中で、とても満足感のあるヴィデオ黒ミサでした。大きなコンサートがことごとくなくなった年でしたから、ヴィデオ黒ミサでも開催してくれて、本当にありがたく感じました。
今回の作品の初回限定盤では、これらのコロナ禍で行われた黒ミサの映像特典が付属しているバージョンもあり、楽しみです。あれはあれで、あの時しかない貴重な記録ですものね。