ロンドン出身、現在はアトランタをベースに活動するマルチ・アーティストによる約2年ぶりのセカンド・アルバム。今回はツアーを共に行ったバンドと共同で作り上げられており、これまでのジャズとネオ・ソウルをベースにした音楽性も残しつつ、ローファイで温かみのある演奏を活かしたトリップ・ホップ的なサウンドが非常に印象的だ。そのなかで注目すべきはヴォーカル。彼自身が敬愛するジェフ・バックリーにトム・ヨークを足したような歌声はこれまでに比べてエモーショナルかつ内省的で明らかな進化が感じられる。彼の中にあるシンガー・ソングライターとしての部分を強調した儚く美しい作品だ。